イム戦と、直前までエルバフにいたシャンクス問題
※『ONE PIECE』第1188話までのネタバレを含みます。
第1188話では、ギア5のルフィがイムと戦い、最後にイムの攻撃で胸を貫かれたような形で引きになった。
この場面を見たときの感想は、恐怖より先に、
またルフィ、一回負けるやつか
だった。
『ONE PIECE』では、章ボスや大きな敵に一度押し切られ、攻略法や成長要素を得てから逆転する流れが何度も使われてきた。
では、「ルフィは章ボスに必ず一回負ける」が定石なのだろうか。
正確には、毎回ではない。
ただし、物語の大きな山場では非常に多い型である。
クロコダイル戦は、敗北イベントの完成形
アラバスタ編のクロコダイル戦では、ルフィは一度ではなく複数回敗れる。
最初は能力相性すら理解できず、砂漠で完全に格上として処理される。
次は水を使う攻略法を持ち込むが、それでも勝ち切れない。
最終的に血を使って実体を捉え、地下で決着する。
この構造は分かりやすい。
- 現時点では勝てないと見せる
- 敵の能力を理解する
- 攻略手段を獲得する
- 意志の強さで逆転する
イムに胸を貫かれたような第1188話の構図は、クロコダイル戦を連想させるものだった。
もちろん、同じ構図だから同じ展開になるとは限らない。
しかし、「一度明確に届かないことを見せ、次の突破口へつなぐ」という役割は似ている。
ルッチ戦も、一度追い返されてからの再戦だった
ウォーターセブンでは、ルフィとゾロがCP9に圧倒される。
エニエス・ロビーで再戦し、ギア2とギア3を使ってルッチを倒す。
ここでも、最初の敗北には意味がある。
敵の格を上げるだけではない。
ロビンの本心が分からない状態では、ルフィ側の意志も定まっていなかった。
再戦時には、
- ロビンを取り戻す目的が確定している
- 世界政府へ宣戦布告する
- 新しい戦闘形態を使う
- 仲間全員が役割を持つ
という条件が揃う。
つまり、敗北は戦闘力だけでなく、物語上の準備不足を表している。
カタクリ戦は、戦闘中に追いつく型
カタクリ戦では、単純な一回KOからの再戦という形ではない。
しかし、序盤から中盤にかけては明確にカタクリが上である。
見聞色の覇気、速度、技の完成度、戦闘経験。
ルフィは戦いながら未来視を学び、少しずつ同じ土俵へ上がっていく。
これは「一度負けて修行して帰る」型を、一つの長期戦の中へ圧縮したものだ。
ルフィの成長は、訓練場ではなく実戦で起きることが多い。
敵が強いほど、戦闘中に新しい認識や能力を獲得する。
カイドウ戦は、負けすぎである
カイドウ戦では、敗北イベントが何度もある。
最初は一撃で倒される。
鬼ヶ島では複数人で挑み、ルフィが単独戦へ移る。
覇王色をまとう戦い方を理解する。
それでも海へ落とされる。
復帰後も、CP0の介入を受けて倒される。
そこからギア5へ覚醒する。
カイドウは、ルフィだけと万全の状態で一戦した相手ではない。多数の相手と連戦し、鬼ヶ島を動かしながら戦っている。
一方、ルフィは敗北と回復を挟んでいる。
だから、最終的にルフィが勝ったことは事実でも、
ワノ国終了時点のルフィが、万全のカイドウより常に上
と単純には言い切りにくい。
それでも、ルフィが四皇級の領域へ入ったことは間違いない。
イムにここで勝ったら、シャンクスを超えてしまう
現在のイムは、世界政府の頂点にいる最終ボス級の存在として描かれている。
そのイムへ、今のルフィが初戦で正面から勝てば、戦闘力の物語上、シャンクスを超えたと見なされても不思議ではない。
カイドウを倒した時点でも、ルフィがシャンクスへ並んだ、あるいは戦闘力の一部では超えた可能性はある。
しかし、物語上のシャンクスはまだ「ルフィが追う側」の立場を残している。
- 麦わら帽子を返す約束
- 憧れの海賊
- 未公開の本格戦闘力
- 世界の秘密との関係
- ひとつなぎの大秘宝争奪への参戦
ここでルフィがイムを単独撃破すると、シャンクスとの関係が「超えるべき壁」ではなく、「既に世界最上位へ行った後の約束の清算」になってしまう。
そのため、イム初戦でルフィが届かない描写を入れるのは自然である。
カイドウ戦で四皇帯へ入った。
しかし、最終章の頂点へはまだ届かない。
この段階差を示すための敗北イベントに見える。
ただし、今回倒しているのがイム本体かは別問題
イム戦で勝った場合も、勝ち方によって意味は変わる。
- イムの分身や遠隔操作体を倒す
- 時間制限や特殊条件で追い払う
- エルバフ側との総力戦で撤退させる
- 弱点を突いて一時的に無力化する
- イム本体をルフィが単独で完全撃破する
最後だけが、明確な「最終ボス突破」である。
現在の戦いがどの位置づけになるかによって、シャンクスとの上下関係も変わる。
だから、第1188話の時点で「ルフィがイムに完全敗北した」と確定したわけではない。
胸を貫かれたような場面で引いただけであり、救援、能力の特性、覚醒、撤退など複数の展開がありうる。
シャンクスはどこをほっつき歩いているのか
ルフィがカイドウと戦っているとき、シャンクスは戦闘には参加しなかった。
ただし、終戦後にはワノ国近海へ現れ、覇王色の覇気で緑牛を退かせている。
ギリギリ、「間に合わなかったが近くには来ていた」という処理ができる。
しかし、今回のエルバフは事情が違う。
シャンクスは直前までエルバフにいた。
キッドと戦い、エルバフを出航した後、ルフィたちが到着し、神の騎士団とイムが動き始めた。
エルバフはシャンクスと深い関係を持つ土地である。
今回の敵は、シャンクス自身の血筋や神の騎士団とも関係している。
それなのに、イムとルフィが戦う段階で不在である。
読者からすれば、
お前、キッドをワンパンした後どこへ行ったんだ
となる。
「遠くにいました」では弱い
シャンクスが長い間別の海にいたなら、不在も理解できる。
しかし、直前まで現地にいた。
そのため、今後はかなり強い不在理由が必要になる。
考えられるのは、次のようなものだ。
- 黒ひげを追っている
- ラフテルやロードポーネグリフ関連の最重要案件へ動いた
- 世界政府側の別動隊を処理している
- エルバフで起きることを予測し、別の目的で離れた
- シャンクス自身が戦闘や拘束に巻き込まれている
- 終盤にマリンフォード式で遅れて登場する
ただし、同じ「終戦間際に到着」を繰り返すと、
また戦争が終わる頃に来る人
になってしまう。
今回まったく登場しないなら、次の登場時に説明が必要だ。
何事もなかったように酒を飲みながら現れたら、エルバフ側からも読者からも、「いや、直前までいたよね」となる。
今回の敗北は、いつもの型であり、最終章の順序調整でもある
第1188話のルフィは、クロコダイル戦を思わせる形でイムの攻撃を受けた。
この時点では、完全敗北も死亡も確定していない。
ただし、物語構造としては「最初の衝突で届かない」型に見える。
それは、単にいつもの引き延ばしではない。
- イムの格を保つ
- ルフィの不足を示す
- 次の成長や攻略条件を置く
- シャンクスとの物語上の順序を残す
- 第三者の介入余地を作る
という役割がある。
だから読者の感覚としては、
はいはい、一回負けるイベントね
でかなり合っている。
ただし最終章なので、クロコダイル戦のような単純な弱点発見や、新しいギアだけで終わるとは限らない。
ルフィとジョイボーイの違い、イムの能力、覇気の完成、世界の歴史、シャンクスの立場まで含めた突破口になる可能性が高い。
参考資料(2件)
- 集英社 MANGA Plus『ONE PIECE』第1188話
https://mangaplus.shueisha.co.jp/titles/100149 - ONE PIECE.com「第1082話 新時代到来!赤髪の皇帝の怒り」
https://one-piece.com/anime/64187/index.html
