要約
HUNTER×HUNTERの念能力は、単なる「強い技」ではない。
一般人から見ると、念はかなりクソゲーである。
- そもそも見えない
- 何をされたか分からない
- 防御方法も分からない
- 能力ごとのルールが違う
- 条件を踏んだら格上でも詰む
- 観客や一般人まで能力素材にされることがある
だから念能力は、武術というより「見えない個人兵器」に近い。
その意味で、天空闘技場200階以上はかなり異常な場所である。
表向きは格闘興行っぽい。
でも実態は、念能力者が半公開で戦っているプロリーグに近い。
そして、そこに観客が入っているのもだいぶおかしい。
ミトさんが総集編の導入に便利すぎる理由
総集編の導入としてミトさんは便利すぎる。
ミトさんは、ゴンの出発点を一発で思い出させるキャラだからである。
ゴンはなぜ旅に出たのか。
ジンを探すとは何なのか。
くじら島の日常から、どうしてハンターの異常世界へ入っていったのか。
このあたりを、ミトさんは全部つなげられる。
ネテロやヒソカで総集編を始めると、どうしても「強者紹介」になる。
でもミトさんで始めると、「ゴンの物語」に戻る。
HUNTER×HUNTERは、話が進むほど念・暗殺一家・幻影旅団・キメラアント・暗黒大陸と異常値が増えていく。
だからこそ、ミトさんのような日常側の視点があると、視聴者の足場が戻る。
ミトさんは戦わない。
念の説明もしない。
でも、ゴンがどこから来た子なのかを思い出させる。
総集編の導入装置としてかなり強い。
念能力は一般人から見ると初見殺しすぎる
念能力は、一般人から見ると初見殺しどころではない。
初見では、攻撃されたことすら分からない。
日テレ公式の用語解説では、念は人間が身体から発する生命エネルギー「オーラ」を自在に操作・増減する能力と説明されている。さらに念には四大行があり、纏はオーラを身体の周囲に止めて肉体を強靭にする技術、凝は隠されたオーラを見抜く技術とされている。
出典:HUNTER×HUNTER 用語解説|日本テレビ
つまり逆に言うと、念を知らない一般人は、
- オーラで身体を守れない
- 隠された念を見抜けない
- 何をされたか分からない
- 攻撃の条件も分からない
という状態で、念能力者と向き合うことになる。
これは、防具なしで銃撃戦に入るようなものではない。
もっとひどい。
銃なら、銃口や発砲音でまだ攻撃の方向が分かる。
念はそれすら分からないことがある。
念は6系統あるが、問題は「種類が多い」ことではない
念能力は主に6系統に分かれる。
- 強化系
- 放出系
- 変化系
- 具現化系
- 操作系
- 特質系
日テレ公式の用語解説でも、強化系は肉体や道具の力を強化する能力、放出系はオーラを飛ばす能力、変化系はオーラを別の性質に変える能力、具現化系はオーラを物質化する能力、操作系は物質や生物を操る能力、特質系はそれらに分類できない特殊能力と整理されている。
出典:HUNTER×HUNTER 用語解説|日本テレビ
ただし、厄介なのは「6種類ある」ことではない。
本当に厄介なのは、念能力が本人の性格・執着・制約・誓約によって個別のルールを持つことだ。
たとえば、
- 殴るだけの能力
- 人を操作する能力
- 物体を具現化する能力
- オーラを別の性質に変える能力
- 条件を満たすと相手を拘束する能力
- 能力そのものを盗む能力
- 見た目や質感をごまかす能力
- 観客や人形を戦闘素材にする能力
まである。
普通のバトルなら、相手の筋力やスピードを見ればある程度危険度が分かる。
でも念能力は違う。
弱そうな相手でも、条件を踏めば詰む。
「この相手は何系か」だけでは足りない。
「何を条件に発動するのか」まで読まないといけない。
だから念バトルは、殴り合いではなく、ルールを探るゲームでもある。
ゴン・キルア・ハンゾーは念なしフィジカルの時点でおかしい
念を覚えた後の強さは、まだ分かる。
念は身体能力を強化できるし、纏や練で攻防力も上がる。
だから念能力者が強いのは、設定として理解できる。
問題は、ゴン・キルア・ハンゾーが、念なしの時点で異常に強いことである。
ゴン
ゴンは野生育ちとはいえ、ハンター試験の時点で既におかしい。
一次試験の長距離移動、湿原、二次試験、トリックタワー、ゼビル島を突破している。
しかも最終試験では、ハンゾーに実力で圧倒されながら降参しない。
ゴンはこの時点では戦闘技術として完成していない。
でも身体耐久と精神耐久が異常である。
キルア
キルアはさらにおかしい。
12歳の時点で、暗殺一家の拷問耐性、毒耐性、瞬発力、暗殺技術がある。
念を知らない時点でも、一般受験者から見ると災害に近い。
天空闘技場でも、念に入る直前の階層まで子どものころに到達している。
200階以上に踏み込んでいなかったから念を知らずに済んだ、というだけで、フィジカルだけならほぼ念能力者リーグの入り口まで来ていた。
ハンゾー
ハンゾーも試験時点ではかなり強い。
最終試験では、ゴンを明確に実力で上回っている。
それでもゴンの意志を折れず、自分から降りる。
ハンゾーの優しさが目立つが、前提として「ゴンを完全に制圧できる実力」がある。
つまり、ハンゾーも念なし人間の上澄みである。
ゴンのジャンケンは完成形というより発展途中
ゴンは強化系である。
なので本質はかなりシンプルだ。
拳にオーラを集めて殴る。
これが一番向いている。
ジャンケンで言えば、
- グー:強化系。ゴンの本命
- チー:変化系。オーラを刃のように使う
- パー:放出系。オーラを飛ばす
という構造になる。
ただし、ジャンケンは完成された能力というより、発展途中の技に見える。
理由は単純で、欠点が分かりやすいからである。
- 溜めが長い
- 宣言が必要
- 攻撃前に隙ができる
- グー以外は本命系統ではない
- 上位者には読まれやすい
ただ、ここがゴンらしい。
ゴンは技巧派ではなく、強化系の直球型である。
だから能力も複雑なルールではなく、拳を中心にしたシンプルな構成になる。
ゴンの怖さは、能力の複雑さではない。
シンプルな技を、異常な覚悟とオーラ量でバグらせるところにある。
ゴンさんは、その極端な到達点である。
キルアは雷属性ではなく、オーラを電気っぽく変えている
キルアは変化系である。
つまり、いわゆる「雷属性の魔法使い」ではない。
自分のオーラの性質を電気のように変化させている。
これはかなりキルアらしい。
幼少期から電気拷問に耐えさせられてきた経験があり、電気を身体で知っている。
だからオーラを電気の性質に変える発想と相性が良い。
ここがHUNTER×HUNTERの面白いところで、能力は本人の人生・経験・性格と結びついている。
キルアの雷は、ただのかっこいい属性ではない。
ゾルディック家の異常な育成環境の結果でもある。
天空闘技場200階以上は、ほぼ念能力者リーグ
天空闘技場はかなり変な施設である。
日テレ公式の用語解説では、天空闘技場は251階を誇る巨大闘技場で、勝つと上の階層に進むシステムとされている。さらに、200階クラスからはそれまでと一線を画した内容になり、200階クラスで10勝するとフロアマスターに認定されると説明されている。
出典:HUNTER×HUNTER 用語解説|日本テレビ
つまり、1階から199階までは、まだ普通の格闘大会っぽい。
でも200階以上は違う。
実態は、念能力者の半公開リーグである。
VAPの天空闘技場編あらすじでも、ゴンとキルアは200階クラスにたどり着いた後、ヒソカの「念」の壁を突破するためにウイングへ念能力の発動を頼む流れになっている。さらに200階クラス初戦では、ゴンが念能力者ギドと戦う。
出典:VAP HUNTER×HUNTER 天空闘技場編
この時点で、200階以上の異常さが分かる。
念を知らずに上がってきた強い格闘家は、ここで初めて「見えないルールの世界」に入る。
そして、念なしで来た者は洗礼を受ける。
要するに、強い格闘家でも、念を知らないと壊される。
フィジカルだけで強い世界は199階まで。
200階からは、念能力者の世界である。
200階以上の観客も、まともではない
ここでおかしいのが観客である。
200階以上の試合は、一般人から見たらかなり意味不明なはずだ。
たとえば、観客が念を見えないとする。
すると試合はこう見える。
- 急に選手が吹っ飛ぶ
- 何もない空間で止まる
- 見えない圧で動けなくなる
- 紙やコマや車椅子が異常な威力になる
- 実況だけが盛り上がっている
普通の格闘技観戦ではない。
見えない手品ショーである。
それでも観客がいるということは、200階以上の観客は完全な一般人ではない可能性が高い。
考えられるのは、
- 念を使える観客
- 念は使えないが存在は知っている格闘オタク
- 裏社会・ハンター関係者
- 賭けや興行に関わる金持ち
- 危険なものを見たい狂人
このあたりである。
天空闘技場は表の興行に見える。
でも200階以上は、かなり裏社会寄りのエンタメに見える。
念は念でしかまともに防げないのがクソゲー
念能力が一般人に厳しい最大の理由は、念を念でしかまともに防げないところである。
もちろん、物理的な障害物や逃走で一部は避けられる。
でも、念能力の本質的な防御には念が必要になる。
纏で身体を守る。
凝で隠された念を見る。
相手の能力の条件を推測する。
危険なオーラを感じ取る。
これができないと、戦い以前に情報負けする。
一般人は、
- 攻撃が見えない
- 条件が分からない
- 解除方法が分からない
- 防御膜がない
- 相手の嘘も能力も読めない
という状態になる。
念能力者同士ですら初見殺しで死ぬことがある。
一般人なら、ほぼ詰みである。
クロロvsヒソカを見ると、観客席はもう安全地帯ではない
クロロvsヒソカ戦を見ると、天空闘技場の観客席がどれだけ危険か分かる。
集英社の34巻紹介では、天空闘技場でヒソカとクロロの死闘が始まり、クロロが新能力を披露しつつヒソカを追い詰める流れとして紹介されている。
出典:HUNTER×HUNTER カラー版 34|集英社
この戦いでは、観客席が戦場になる。
クロロは能力の組み合わせによって、人形・観客・爆発・操作を戦術に組み込む。
ヒソカとの勝負は、リング内だけで完結しない。
これが念能力の本当に厄介なところである。
格闘技なら、基本的に選手同士がリングで戦う。
客席は客席である。
でも念能力バトルでは、能力次第で観客席も素材になる。
観客は、ただ見ているだけの存在ではない。
能力の対象になる。
盾になる。
人形になる。
爆発の巻き添えになる。
群衆そのものが戦術の一部になる。
つまり、200階以上の観戦は、チケット代を払って危険区域に入る行為である。
普通のスポーツ観戦ではない。
「念能力者の戦場を、興行として眺めている」状態である。
天空闘技場は、念能力が社会に漏れている場所
念は一般社会には秘匿されている。
でも、天空闘技場200階以上を見ると、完全に隠し通されているわけでもない。
むしろ、知っている人は知っている。
裏社会やハンター関係者、格闘家の上澄み、金持ち、興行関係者の間では、念の存在は半分知られているように見える。
ただし、念の体系的な習得方法は別である。
「変な能力者がいる」ことを知っているのと、
「四大行、六系統、発、制約と誓約を理解して鍛えられる」ことは違う。
天空闘技場200階以上は、念の存在が半公開になっている場所。
でも、念を正しく学ぶ学校ではない。
だから危険である。
知らずに来た強者は、洗礼で壊される。
知っていても弱い者は、能力者同士のルール戦で食われる。
観客ですら、能力次第で巻き込まれる。
天空闘技場は、表社会と裏社会の境界がガバガバになった場所なのだと思う。
結論:念能力は、強さより先に「ルールを知らないと死ぬ」能力である
念能力は、単なる戦闘力ではない。
念の怖さは、火力だけではない。
- 見えない
- 防げない
- ルールが分からない
- 能力ごとに条件が違う
- 一般人はそもそも土俵に立てない
- 観客や環境まで戦術に組み込まれる
ここにある。
だから、ゴン・キルア・ハンゾーのように、念なしフィジカルだけでハンター試験を抜けている人間は異常である。
彼らは念を覚えたから強くなったのではない。
念を覚える前から、そもそも人間としておかしい。
その上で念を覚えるから、さらにバグる。
そして天空闘技場200階以上は、そのバグった人間たちが半公開で戦う場所である。
一般人から見ると、念能力は初見殺し。
念能力者から見ても、能力ごとのルール次第で初見殺し。
HUNTER×HUNTERの世界が怖いのは、強い敵がいるからではない。
世界そのものが、「知らないルールを踏んだら終わる」構造になっているからである。
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