『チー付与』、レインの強化付与を+5で止めてる場合じゃなくない?

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※48話前後と、その後に公式あらすじで明かされる世界設定へ軽く触れます。

『チー付与』を48話前後まで読んでいると、妙なことが起きる。

絵は明らかに読みやすくなる。 マーガレットは「顔変わりすぎでは?」というくらい美人寄りになる。 なのにギャグは相変わらず「Sexy! ギャーッ!」みたいな勢い任せ。 「暗殺の母」という名前もそのまま。 しかも一族まで増えそうで、最強ババア軍団の気配までしてくる。

作画は進化した。 世界設定もどんどん重くなった。 ギャグだけは野生のままである。

そんな中で一番気になるのが、レインの強化付与だ。

いや、+5くらいで止めてる場合か?

1. 48話前後、ギャグは雑なのに世界設定だけ急にガチになる

この作品、名前とギャグだけ見るとずっと適当である。

暗殺の母。 半分。 突然の謎テンション。 キャラの顔も場面によってかなり変わる。

ところが話が進むほど、世界そのものは妙に真面目になる。

アニメ公式は、レインを「あらゆるものに強化ポイントを付与でき、任意のタイミングで解除できる強化付与魔術師」と説明している。[1]

さらにこの世界では、科学技術に頼るほど魔力が落ち、知性を持つ凶悪なモンスターが存在する、と公式に整理されている。[1]

後の単行本公式あらすじでは、竜族はかつて人類を滅亡寸前まで追い込んだ存在とまでされる。[2]

ギャグの名前は「暗殺の母」なのに、世界の安全保障は全然笑えない。

ここまで来ると、レインの能力を「ギルドの装備屋さん」みたいな規模で扱っていいのかが怪しくなる。

2. 本題:+5で止めるより、もっと付けた方がよくない?

作中で見えてくるのは、青の水晶側がレインの強化を無制限には配らず、低い数値で広く運用する考え方だ。

それ自体は分かる。

強化ポイントは無限ではない。 レインにも自分用のポイントが必要。 一人だけ+10000にして他全員が裸、では困る。

でも、問題は一律に低く抑えることが本当に得なのかである。

+5の武器で討伐成功率が少し上がる。 +50なら重傷者が減る。 +500なら、本来10人必要な討伐を3人で終わらせられる。

もしこんなふうに効果が非線形に伸びるなら、「みんな平等に+5」は公平でも、戦争としては弱い。

魔物相手に必要なのは、平等な強化ではない。

死なずに勝てる強化である。

3. レインは武器屋ではなく、ほぼ国家インフラ

公式の導入では、レインは以前のギルド全体に付与していた大量の強化ポイントを回収し、それを手元の装備へ集中させた結果、安い銅剣が伝説級に迫る武器になる。[3][4]

つまりレインの能力は、

「剣をちょっと強くできます」

ではない。

戦力の置き場所を丸ごと変更できる。

平時は100人に薄く配る。 大型魔物が出たら回収する。 討伐隊5人へ厚く積む。 終わったら解除して別の地域へ回す。

これが可能なら、強化ポイントは武器ではなく「移動できる防衛予算」に近い。

しかもレイン本人が解除できる。

こんなの国から見たら、

「強い冒険者が一人います」

ではない。

国防システムが歩いてる。

なのに現場が「強化料金が高いので+5までです」で終わるなら、読者としては当然こうなる。

国、お前が金出せ。

4. ただし「全国民+10000」はさすがに無理

ここは大事。

レインが+10000を作れるからといって、全員に+10000を配れるわけではない。

公式の作品紹介でも、+10000はそれまで多数の装備へ付与していた膨大なポイントを回収し、一つへ集めた結果として生まれている。[3][4]

つまりポイントは少なくとも「無限に無料で湧く数字」としては描かれていない。

だから、

「全国民+10000にすれば全部解決」

はやりすぎ。

でも逆に言えば、重要なのは上限を固定することではなく、どこへ何ポイント置くかになる。

+10000を100本作れないなら、 一番危険な戦場へ1本だけ持っていけばいい。

資源が有限だからこそ、配分が重要になる。

5. 合理的なのは「一律+5」ではなく用途別の強化

もし国や大手ギルドがまともに運用するなら、たぶんこうなる。

一般冒険者: 最低限の生存率を上げる薄い強化。

危険地域の討伐隊: 数十〜数百を集中。

大型魔物・竜族クラス: 複数人からポイントを回収し、主力装備へ集中。

戦闘終了後: 解除して別任務へ再配分。

つまり、

普段は広く、非常時は一点集中。

これが一番自然だ。

「一人だけ強くするとずるい」ではなく、 「今日はこの人が竜を止めないと街が消える」 なら、強化を集中する理由は十分ある。

学校の運動会ではない。 魔物が人を食う世界である。

6. 魔物の脅威が大きいほど、「今ケチる」が高くつく

ここで世界設定が効いてくる。

公式アニメ紹介では、知性を持つ凶悪なモンスターが人間側の脅威として存在する。[1]

さらに14巻の公式あらすじでは、竜族は過去に人類を滅亡寸前まで追い込んだ。[2]

この規模になると、

「今年は強化予算が厳しいので+5で」

が笑えなくなる。

討伐を失敗する。 冒険者が死ぬ。 街が壊れる。 物流が止まる。 次の討伐要員まで減る。

これらを全部考えたら、強化費をケチった結果の方が高い可能性がある。

特に「放置した強敵がさらに大きな脅威になる」タイプの世界なら、先送りは節約ではない。

未来へ請求書を回しているだけである。

7. じゃあ国がレインを囲えばいい? それも違う

ここで別の罠がある。

「国家に重要なら、レインを国が管理すればいい」

まで行くと、一気に怖くなる。

レインは発電所ではない。 人間である。

本人の意思で付与し、本人の意思で解除できるという性質まで公式設定に入っている。[1]

だから合理的なのは、

国家がレインを所有することではなく、

  • 高額な報酬を払う
  • 危険度に応じた強化契約を結ぶ
  • 強化ポイントを返す条件を決める
  • 非常時だけ集中運用する
  • レイン本人に拒否権を残す

という仕組みだろう。

能力が国家級だからといって、能力者まで国家資産にしてはいけない。

むしろレインに逃げられた瞬間、全強化を解除される可能性がある。

王獣の牙が最初に何をやらかした漫画だったか思い出そう。

8. 結論:+5が悪いのではなく、「+5固定」がもったいない

結論は単純。

+5そのものが弱いとは限らない。

大量の冒険者へ薄く強化を配る平時運用なら、むしろ合理的な場面もある。

でも、

人類級の脅威が普通に出てくる世界で、いつでも+5まで

なら、さすがにもったいない。

レインの能力の強さは「すごい武器を作れる」ことだけではない。

必要なときに回収して、 必要な場所へ集めて、 終わったらまた配り直せることにある。

だから本当に強い使い方は、

+5か+10000かの二択ではない。

普段は+5。 ヤバい日は+500。 世界が終わりそうなら全回収して+10000。

そして請求書はギルド員個人ではなく、

国、お前が払え。

これである。

参考資料(4件)

  1. TVアニメ『チー付与』公式サイト。レインは武器・防具など「あらゆるもの」に強化ポイントを付与し、任意に解除できる。世界には知性を持つ凶悪なモンスターが存在し、科学技術への依存で魔力が落ちる設定も紹介。漫画版と小説版は内容が大幅に異なる旨も公式に案内。
  2. 講談社『チー付与』14巻公式ページ。竜族を「かつて人類を滅亡寸前まで追いやった最凶の魔物」と説明。
  3. コミックDAYS『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。』第48話ページ。作品公式紹介として、旧ギルドの装備に付与していた膨大な魔力を回収し、銅の剣へ付与した結果「+10000」が生まれる設定を掲載。
  4. 講談社 作品公式ページ。レインが旧ギルドの防具に付与していた強化ポイントを全回収し、安い銅剣と布の服へ集中した結果、伝説級の攻撃力・防御力になる導入を掲載。
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