休職後に転職を考えると、気になるのが「転職先に休職歴がバレるのではないか」という問題です。
特に不安になりやすいのが、源泉徴収票です。
「前年の収入が少ないと休職がバレるのでは?」 「入社後に源泉徴収票を出したら総務に気づかれるのでは?」 「休職を言っていなかったらクビになるのでは?」
このあたりは、SNSでもよく話題になります。
結論から言うと、源泉徴収票から休職が確定でバレるわけではありません。
ただし、給与額が低いことで「何かあったのかな」と察される可能性はあります。
大事なのは、どこまで分かるのか、どこから先は推測なのか、そして入社後にどの程度問題になるのかを分けて考えることです。
源泉徴収票で分かること
源泉徴収票には、主に次のような情報が載ります。
- その年の給与支払金額
- 源泉徴収税額
- 社会保険料等の金額
- 各種控除
- 扶養情報など
一方で、源泉徴収票に「休職しました」と直接書かれるわけではありません。
つまり、源泉徴収票だけを見ても、会社側が分かるのは基本的に「その年の給与額がいくらだったか」です。
給与額が低い場合、理由はいろいろ考えられます。
- 休職
- 欠勤
- 時短勤務
- 育休・介護休業
- 賞与が少なかった
- 残業代が少なかった
- 転職時期の関係で在籍期間が短かった
- 会社業績による賞与減
- 歩合給や変動給の減少
- 無給期間があった
このように、給与額が低いことから休職を「推測」される可能性はあっても、休職だと「断定」できるわけではありません。
転職先に源泉徴収票を出すタイミング
中途入社の場合、転職先で年末調整をするために、前職の源泉徴収票を提出することがあります。
これは、転職先がその年の給与を合算して年末調整するためです。
つまり、転職先が見る可能性があるのは、基本的に転職した年の前職給与です。
たとえば、2026年に前職を辞めて2026年中に転職した場合、転職先には2026年分の前職源泉徴収票を提出することがあります。
このとき、2026年中に休職していて給与が少なければ、金額としては目立つ可能性があります。
「休職復帰してから1年働けばいい」はかなり現実的
休職が源泉徴収票に影響するのは、主に休職によって給与が下がった年です。
そのため、休職復帰後に通常勤務を続け、源泉徴収票上も通常の給与に戻っている状態で転職すれば、休職を察されるリスクはかなり下がります。
たとえば、次のようなケースです。
- 2026年に休職
- 2027年は復帰して通常勤務
- 2028年に転職
この場合、2028年の転職先に提出する源泉徴収票は、基本的には2028年分の前職給与です。
2026年の休職による給与減が、そのまま源泉徴収票に出るわけではありません。
その意味では、休職復帰後に1年きちんと働いてから転職するという考え方は、かなり現実的です。
もちろん、完全に何も見えなくなるという意味ではありません。
ただ、少なくとも「直近の給与が明らかに低い」という状況は避けやすくなります。
住民税から察される可能性はある
源泉徴収票とは別に、住民税から前年所得がある程度見える可能性もあります。
会社員の場合、住民税は給与から天引きされる「特別徴収」になることが多いです。
住民税は前年所得をもとに決まるため、休職で前年所得が低いと、翌年の住民税額も低くなることがあります。
そのため、給与担当者が住民税額を見て「前年の所得が低かったのかな」と感じる可能性はあります。
ただし、これも休職だと断定できるものではありません。
前年所得が低い理由も、休職以外にたくさんあります。
会社側が住民税額だけで休職を決めつけるのは難しいです。
入社後に聞かれることは普通あまりない
ここが実務上かなり大事です。
源泉徴収票を提出するのは、基本的に入社後の税務処理のためです。
入社後に総務や人事が源泉徴収票を見て、仮に給与額が低いと気づいたとしても、普通はすぐに、
「これ休職ですか?」 「なぜ前年収入が低いんですか?」 「病気だったんですか?」
とは聞きにくいです。
なぜなら、過去の病歴や休職理由はかなりデリケートな情報だからです。
しかも、源泉徴収票から分かるのはあくまで金額であり、休職かどうかは断定できません。
そのため、入社後に源泉徴収票を出しただけで、会社から詰められる可能性は高くありません。
それだけでクビになる可能性はかなり低い
さらに、仮に入社後に休職歴を疑われたとしても、それだけで即クビになる可能性はかなり低いです。
日本の雇用では、会社が一方的に解雇するには合理的な理由が必要です。
単に「前職で休職していたかもしれない」「源泉徴収票の金額が低い」というだけでは、解雇の理由としてかなり弱いです。
問題になりやすいのは、次のような場合です。
- 面接で明確に聞かれたのに虚偽回答した
- 現在も業務遂行に明確な支障があるのに隠していた
- 必要な配慮や制限があるのに伝えていなかった
- 休職理由が応募職種の安全性や業務遂行に直接関係する
- 経歴や職歴そのものを大きく偽っていた
逆に言えば、聞かれていない過去の休職歴を、応募者が自分からすべて開示しなければならないとは限りません。
重要なのは、現在その仕事を通常どおり行える状態かです。
面接で聞かれた場合の答え方
もし面接で体調面や休職について聞かれた場合は、詳細を出しすぎず、現在の業務遂行に問題がないことを中心に伝えるのが無難です。
たとえば、次のような答え方です。
一時的に体調を整える期間がありましたが、現在は復帰して通常勤務できています。業務遂行に支障はありません。
または、
以前、一時的に勤務を調整した時期はありますが、現在は安定して勤務できています。入社後も通常勤務に問題はありません。
ポイントは、過去の詳細な病名や経緯を説明しすぎないことです。
面接で見られるべきなのは、「今働けるか」「応募職種を遂行できるか」です。
嘘の病名や理由を作るのは危険
SNSでは、「休職理由を別の病気にして説明すればいい」という話が出ることがあります。
ただし、これはリスクがあります。
細かい嘘を作ると、後で整合性が取れなくなる可能性があります。
また、明確に聞かれた内容に対して虚偽回答をすると、後で問題になる可能性があります。
そのため、無理に嘘のストーリーを作るより、
- 現在は通常勤務できている
- 業務遂行に支障はない
- 必要な配慮がある場合は必要な範囲で伝える
という方向に寄せる方が安全です。
休職後に転職するなら安全度が高いタイミング
休職後に転職する場合、比較的安全度が高いのは次のような状態です。
- 復職後、通常勤務の実績がある
- 勤怠が安定している
- 直近の源泉徴収票で大きな給与減が目立たない
- 面接で現在の就業可能性を説明できる
- 再発防止や体調管理について自分の言葉で説明できる
- 転職理由を休職だけにしない
特に、復職後に1年程度通常勤務できているなら、かなり説明しやすくなります。
「現在は通常勤務できています」と言う根拠があるからです。
まとめ
休職は、源泉徴収票から確定でバレるわけではありません。
源泉徴収票で分かるのは主に給与額であり、給与が低い理由は休職以外にもたくさんあります。
ただし、休職した年やその翌年は、源泉徴収票や住民税額から「前年所得が低い」と察される可能性はあります。
そのため、休職復帰後に1年程度通常勤務してから転職するという考え方は、かなり現実的です。
また、入社後に源泉徴収票を提出したあと、会社がそれを理由に休職歴を詰めることは普通あまりありません。
仮に疑われても、給与額だけで休職を断定することはできません。
それだけでクビになる可能性もかなり低いです。
大事なのは、過去の休職歴そのものよりも、現在きちんと働ける状態かです。
必要以上に不安になりすぎず、復職後の実績を作り、面接では「現在は通常勤務できている」と落ち着いて伝えられる状態を作るのが現実的です。