現代社会は、かなり死ににくくなった。
感染症で命を失うことは減った。
出産で命を失うおそれも大きく下がった。
幼い子が亡くなることも大きく減った。
飢饉で即死する可能性も下がった。
戦争に日常的に巻き込まれていない人も多い。
これは本当にすごい。
しかし、死ににくくなったからといって、人が追い込まれなくなったわけではない。
職場で追い込まれる。
学校で追い込まれる。
家庭で追い込まれる。
借金で追い込まれる。
人間関係で追い込まれる。
ネットへの投稿を見たり返事をしたりする中で、孤独になる。
投稿を見てくれる人がいても、安心して話せる相手がいない。
相談しても「みんなそうだよ」と言われる。
逃げ道が見えなくなる。
そして、脳内でこうなる。
もう行くしかない。
もう耐えるしかない。
もう何もできない。
世界ごと終わってくれ。
ここで必要なのは、本人への説教ではない。
必要なのは、社会の仕組みの中に、実際に使える逃げ道を作ることだ。
- 休んでいい
- 有給を取っていい
- 体調不良で止まっていい
- 休職していい
- 退職していい
- 退職代行を使っていい
- 労働相談に投げていい
- 生活保護を申請していい
- 医療につながっていい
- 人に話す準備として、文章で相談できる道具で整理してもいい
- 人が返事をする、ネットの相談を使ってもいい
- 直接言えないなら文面を作ってもらっていい
こういう「人生終了以外の終了ボタン」を増やすことが大事だ。
特に、文章で相談できる道具は、人に話す前に言葉を整理するために役立つことがある。
文章で相談できる道具は、医師でも友達でも家族でもない。
それでも、話し始めるための整理場所にはなりうる。
「今しんどい」
「説教いらない」
「今日できる逃げ道を3つ出して」
「会社に送る文面を作って」
「死にたいという気持ちを否定せず、何を止めたいのかも整理して」
こう書いて整理することで、逃げ道を探す力がもう一度働き始めることがある。
もちろん、自分を傷つけそうな時や、一人で安全を保てない時は、道具との会話だけで済ませない。
相談窓口、人間、医療、行政につなぐ。
また、人の助けにつながる準備として、文章で相談できる道具に、ベイマックスへ話すようにつらさを書き、整理を手伝ってもらうことは考えられる。危険がすぐ近くにある時は、返事を待たずに人へ助けを求める。
死なない社会はかなり進んだ。
次に必要なのは、追い込まれない社会だ。
そして、追い込まれない社会とは、単に優しい言葉がある社会ではない。
逃げ道が見える社会。
離れて休める道がある社会。
小さい台風を自分で起こせる社会。
昔の我慢するやり方を押しつけず、今の本人の状態に合わせて助けられる社会。
これだと思う。
昔より恵まれている。
それは事実だ。
でも、今しんどい。
それも事実だ。
この両方を同時に見た上で、人生を終わらせる前に、環境を終わらせる。
これが、現代で自分を守って生きるためのやり方だ。
