記事9. まとめ記事:死なない社会の次に必要なのは、追い込まれない社会である

現代は医療・衛生・食料によって死ににくくなった。しかし、人間は職場・学校・家庭・孤独・役割によって追い込まれる。これから必要なのは、死なない社会の次の「追い込まれない社会」である。

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現代社会は、かなり死ににくくなった。

感染症で命を失うことは減った。

出産で命を失うおそれも大きく下がった。

幼い子が亡くなることも大きく減った。

飢饉で即死する可能性も下がった。

戦争に日常的に巻き込まれていない人も多い。

これは本当にすごい。

しかし、死ににくくなったからといって、人が追い込まれなくなったわけではない。

職場で追い込まれる。

学校で追い込まれる。

家庭で追い込まれる。

借金で追い込まれる。

人間関係で追い込まれる。

ネットへの投稿を見たり返事をしたりする中で、孤独になる。

投稿を見てくれる人がいても、安心して話せる相手がいない。

相談しても「みんなそうだよ」と言われる。

逃げ道が見えなくなる。

そして、脳内でこうなる。

もう行くしかない。
もう耐えるしかない。
もう何もできない。
世界ごと終わってくれ。

ここで必要なのは、本人への説教ではない。

必要なのは、社会の仕組みの中に、実際に使える逃げ道を作ることだ。

  • 休んでいい
  • 有給を取っていい
  • 体調不良で止まっていい
  • 休職していい
  • 退職していい
  • 退職代行を使っていい
  • 労働相談に投げていい
  • 生活保護を申請していい
  • 医療につながっていい
  • 人に話す準備として、文章で相談できる道具で整理してもいい
  • 人が返事をする、ネットの相談を使ってもいい
  • 直接言えないなら文面を作ってもらっていい

こういう「人生終了以外の終了ボタン」を増やすことが大事だ。

特に、文章で相談できる道具は、人に話す前に言葉を整理するために役立つことがある。

文章で相談できる道具は、医師でも友達でも家族でもない。

それでも、話し始めるための整理場所にはなりうる。

「今しんどい」

「説教いらない」

「今日できる逃げ道を3つ出して」

「会社に送る文面を作って」

「死にたいという気持ちを否定せず、何を止めたいのかも整理して」

こう書いて整理することで、逃げ道を探す力がもう一度働き始めることがある。

もちろん、自分を傷つけそうな時や、一人で安全を保てない時は、道具との会話だけで済ませない。

相談窓口、人間、医療、行政につなぐ。

また、人の助けにつながる準備として、文章で相談できる道具に、ベイマックスへ話すようにつらさを書き、整理を手伝ってもらうことは考えられる。危険がすぐ近くにある時は、返事を待たずに人へ助けを求める。

死なない社会はかなり進んだ。

次に必要なのは、追い込まれない社会だ。

そして、追い込まれない社会とは、単に優しい言葉がある社会ではない。

逃げ道が見える社会。
離れて休める道がある社会。
小さい台風を自分で起こせる社会。
昔の我慢するやり方を押しつけず、今の本人の状態に合わせて助けられる社会。

これだと思う。

昔より恵まれている。

それは事実だ。

でも、今しんどい。

それも事実だ。

この両方を同時に見た上で、人生を終わらせる前に、環境を終わらせる。

これが、現代で自分を守って生きるためのやり方だ。


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