旅行中、体重計に乗った。
3kg戻ってる。
「終わったか?」
と思ったが、鏡を見ると顔はそこまで変わっていない。ところが腹だけは、なんとなく存在感が増している。
しかも今日は食べている。水も飲んでいる。腹はいっぱい。屁は信じられないほど出る。
なのに30分後には、楽しみにしていた夕食が始まる。
本日の最大の問題は体重ではない。
あと30分で腹を空かせなければならない。
そんな旅行日の話である。
0. 3kg増えた=3kg全部脂肪、ではない
短期間の体重はかなり動く。
食べた物や飲んだ水は、その瞬間には普通に体重計へ乗る。塩分や炭水化物の多い食事の後は水分を多く抱えることもある。便秘や旅行中の生活変化でも数字は動く。[1][2]
だから、旅行中に数kg増えても、
「この数日でそのまま数kgの脂肪が完成しました」
と即判定する必要はない。
もちろん旅行中に普段より食べれば、長い目では脂肪が増えることもある。ただ、短期の数字には水分と消化中の内容物がかなり混ざる。
体重計は判決文ではない。
途中経過の実況テロップくらいに見ておく。
1. 顔は変わらないのに、腹だけちょっと違う
ここが面白い。
顔は大きく変わった感じがしない。
でも腹は、
「お前、昨日より前に出てない?」
という気がする。
これは別に不思議ではない。食事直後なら胃腸には食べ物や飲み物が入っているし、お腹の張りはガスでも起こる。NHSも、腹部膨満のよくある原因として腸内ガスを挙げている。[3]
つまり鏡に映っている腹は、
- 体脂肪
- 食べた物
- 飲んだ物
- 水分保持
- 便
- ガス
が同じステージに立っている可能性がある。
腹だけを見て「脂肪がすべてを支配した」と決めるのは早い。
2. 一生分くらい屁が出る。でもまだ作られている気がする
旅行先で突然始まる、
屁の無限生成編。
「かなり出している。なのに、それ以上に食っている気がする」
この感覚、わりと筋が通っている。
ガスは出たら終わりではない。食べ物の種類、量、飲み込み方、消化の途中などによって、腸内ではまたガスが発生する。[3]
だから、
「こんなに放出したのに、まだ腹が張る」
は矛盾しない。
ただし、ガスそのものが数kgの体重増加を説明するわけではない。
ガスは主に腹の見た目と体感を担当し、体重計の数字には食事・水分・便なども参加している。
役割分担がある。
3. かなり歩いている。休みなんだから、今日は気にしない
旅行中は普段より歩くことがある。
観光して、うろうろして、また歩く。
それでも食事量が増えれば、摂取が消費を上回る日は当然ある。
でもここで、
「今日は何kcal食べた?」 「歩数で全部帳消しになった?」 「この料理は太る?」
と一皿ごとに監査を始めると、休日なのに脳内だけ経理部が出勤する。
今回の結論はもっと単純だった。
せっかくの休みだから、あまり気にせず過ごす。
これは「何を食べても健康に影響しない」という話ではない。
旅行中の数日と、普段の生活を分けて考えるという話だ。
帰って日常に戻ってから、同じ条件で体重の流れを見ればいい。
旅行先で毎食、自分を被告人にしなくていい。
4. 最大の問題:あと30分で腹を空かせたい
夕食まで30分。
腹はまだ完全には空いていない。
しかし、少しだけ空腹感が戻ってきた。
ここで人体に命令する。
「30分以内に胃を空にしてください」
残念ながら、胃は納期遵守の部署ではない。
無理に激しく運動したり、水を大量に飲んだりして帳尻を合わせるより、普通に少し動いて、夕食をゆっくり始める方がいい。
NHSも、腹部膨満への一般的な対策として運動や、一度に大量ではなく小さめの食事を挙げている。[3]
そして旅行飯には裏技がある。
最初から満腹まで突っ込まなければいい。
「ちょっと腹が空いてきた」なら、スタートラインとしては悪くない。
5. ゆっくり食べれば、後半のうまい物まで生き残れる
今日の料理は、せっかくだからしっかり食べたい。
なら最初から速度MAXにしない。
少しずつ食べる。
味を見る。
写真を撮る。
気に入った物を覚える。
後半でまだ入りそうなら追加する。
これなら「食い溜めるぞ」と意気込んで序盤20分で胃を封鎖する事故を減らせる。
旅行中の豪華な食事では、
胃の容量を、うまい物に優先配分する。
これが大事だ。
量を競うイベントではない。
満足度を最大化するイベントである。
6. ゆっくり食べて写真を撮りすぎると、店員から覆面調査員に見えそう
ここで新しい問題が発生する。
料理が来る。
写真を撮る。
角度を変える。
もう一枚撮る。
食べる。
考える。
また次の皿を撮る。
店員から見たら、
「この人、何者?」
である。
グルメ媒体の人か。
ホテル関係者か。
覆面調査員か。
サービス品質を確認しに来た人か。
実際にはただの旅行客なのに、妙に一皿ずつ観察している。
体重を気にしてゆっくり食べ始めたはずが、最終的に店舗監査っぽい挙動へ到達する。
7. 「プロに見えるのは光栄です」――なお一般人素人
もし本当に店員から、
「この人、プロの人かな」
と思われていたらどうするか。
答えは一つ。
光栄です。
なお実態は、
一般人素人。
専門資格なし。
取材依頼なし。
覆面調査の報酬なし。
ただ料理をゆっくり食べて写真を大量に撮っているだけ。
しかし考えてみれば、旅行先で料理をよく見て、味わって、写真に残して、後から「あれうまかったな」と思い出せるなら、それで十分である。
3kg増えた数字から始まった話は、
「腹が張る」 ↓ 「屁が止まらない」 ↓ 「でも休みだから食う」 ↓ 「30分後に夕食」 ↓ 「ゆっくり食う」 ↓ 「写真撮りすぎ」 ↓ 「覆面調査員に見える一般人」
へ着地した。
旅行としては、かなり正しい終わり方だと思う。
健康メモ
お腹の張りが続く、急に悪化する、強い腹痛や嘔吐がある、呼吸が苦しい、便もガスも出ない、といった場合は「旅行で食べすぎた」で片づけず医療機関へ。[3]
参考資料(3件)
- Cleveland Clinic — “7 Possible Reasons Why Your Weight Fluctuates” (2024-07-26) health.clevelandclinic.org
- Mayo Clinic — “Sodium: How to tame your salt habit” (2026-06-19) mayoclinic.org
- NHS — “Bloating nhs.uk

