注意:この記事は『コードギアス 反逆のルルーシュR2』最終話までの重大なネタバレを含みます。
コードギアスR2の終盤は、何度見ても強い。
ルルーシュが皇帝になり、スザクがナイトオブゼロになり、ナナリーが敵として現れ、シュナイゼルがダモクレスとフレイヤで世界を支配しようとする。最後はゼロレクイエムで、世界の憎悪をルルーシュ一人に集め、スザクがゼロとしてルルーシュを討つ。
構造だけ見ると、かなりきれいに閉じている。
ただ、見直すほどに「いや、そこは無茶だろ」と思う場面も多い。
特にR2終盤は、感情の強さと脚本都合の強さが同時に来る。
- 黒の騎士団の裏切りが急に見える
- 扇の「ペテン師だ!」が妙に腹立つ
- ギアスが卑怯なら、フレイヤも卑怯ではないのかと思う
- ナナリー生存の説得力がかなりギリギリ
- ダモクレスが急に生えてきた巨大建築物に見える
- カレンがなぜその側で戦っているのか、終盤で少し分かりにくい
- それでもゼロレクイエムは感動する
この記事では、R2終盤を「面白さ」と「ツッコミどころ」の両方から整理する。
1. 黒の騎士団は、戦力としては強いが頭としては弱い
黒の騎士団は、戦闘組織としてはかなり強い。
カレンは紅蓮聖天八極式でほぼバグみたいな強さを見せる。藤堂や四聖剣も現場指揮官としては優秀だし、ラクシャータも技術面で強い。斑鳩もあり、KMF戦力もある。
現場で戦う部隊として見れば、かなり一流である。
しかし、政治判断と情報戦には弱い。
シュナイゼルが黒の騎士団にゼロの正体とギアスの存在を暴露した時、彼らは一気にゼロを切る方向へ傾く。
疑うこと自体は分かる。
ゼロは正体不明だった。ギアスで人を操っていた。ユフィの虐殺もギアス絡みだった可能性がある。味方にも使われていたかもしれない。組織として信用が崩れるのは当然である。
ただ、判断手順が雑すぎる。
敵国の宰相が持ってきた情報を、ほぼそのまま信じてしまう。ギアスをかけられた人物リストがあるなら、味方に使われたかどうかを検証すればいい。
リストが正確なら調べられる。
リストが不正確なら、断罪の証拠にはならない。
にもかかわらず、「ゼロはペテン師だ」という感情に流される。
ここが見ていてかなり引っかかる。
黒の騎士団は、ゼロに騙されていたと怒る。しかし、その直後にシュナイゼルの盤面へ乗ってしまう。
つまり、ルルーシュの駒をやめたつもりで、シュナイゼルの駒になっている。
これがR2終盤の皮肉である。
2. 扇に「騙されていたんだ」と言われたくない問題
黒の騎士団の中でも、特に扇の扱いは視聴者のヘイトを吸いやすい。
ゼロを疑うのは分かる。ギアスが危険なのも分かる。ユフィの件が許せないのも分かる。
でも、扇が被害者代表みたいな顔で「騙されていたんだ」「ペテン師だ」と言うと、かなりモヤる。
扇自身も、ヴィレッタを匿っていた。敵側の人物と個人的な関係を持っていた。情報源に私情が混ざる立場だった。副司令という立場なら、本来は一番慎重に情報を切り分けるべき人物である。
藤堂が「ゼロは危険だ。拘束して確認する」と言うならまだ分かる。
ディートハルトが「ゼロというコンテンツはもう終わった」と判断するならキャラとして筋が通る。
玉城がキレるなら、まあ玉城である。
しかし扇が「善人代表」「常識人代表」「被害者代表」の顔で断罪するから、視聴者はどうしても「いや、あなたもかなり危うい動きしてましたよね」と感じる。
扇が嫌われるのは、悪人だからではない。
自分の私情や弱みは棚に上げて、急に正義側から裁くように見えるからである。
扇がやるべきだったこと
まともに組織判断をするなら、扇や藤堂はこう動くべきだった。
- シュナイゼルの情報を一旦保留する
- ゼロを即処刑ではなく拘束する
- ギアス対策をした上で本人に確認する
- 黒の騎士団メンバーへのギアス使用有無を検証する
- 日本返還とフレイヤ放棄をセットで交渉する
これをせずに、いきなり「ペテン師だ!」へ行くので、どうしても脚本都合に見える。
3. ギアスが卑怯なら、フレイヤも卑怯ではないのか
黒の騎士団がゼロを切る理由として、「ギアスによる支配は卑怯だ」という感覚は理解できる。
相手の意思を奪う。本人の選択を消す。命令された人間は自分の行動を選べない。組織の信頼を破壊する能力である。
だが、その理屈でゼロを否定するなら、シュナイゼルのフレイヤも同じくらい、あるいはそれ以上に警戒しなければならない。
フレイヤは都市ごと消す。民間人も兵士も関係ない。しかもシュナイゼルは、それを大量装備したダモクレスによって世界支配の装置にしようとする。
ギアスは見えない支配。
フレイヤは見える恐怖支配。
どちらも、普通の戦争のルールを壊している。
本来、黒の騎士団はこう言うべきだった。
ゼロのギアスは危険だ。だがシュナイゼルのフレイヤも危険だ。どちらの支配にも乗らない方法を考える。
しかし実際には、ゼロの支配から降りたつもりで、シュナイゼルの支配に乗ってしまう。
ここが皮肉である。
黒の騎士団は、ルルーシュの駒であることをやめたつもりで、シュナイゼルの駒になっている。
支配装置として比較する
| 支配者 | 支配手段 | 問題点 |
|---|---|---|
| シャルル | 集合無意識への回帰 | 個人の境界と明日を消す |
| シュナイゼル | ダモクレスとフレイヤ | 恐怖で世界を止める |
| ルルーシュ | ギアスと皇帝権力 | 意思を直接奪う |
三人とも、世界を自分の設計で動かそうとしている。
だからルルーシュだけをきれいな正義として見ることはできない。
ただし、ルルーシュは最後に自分の支配を壊させる。
ここがゼロレクイエムの違いである。
4. フレイヤが出た瞬間、KMFの戦争は終わる
フレイヤが出た瞬間、コードギアスの戦争は一段階変わる。
それまでは、KMFの性能、パイロットの腕、作戦、地形、政治的駆け引きが重要だった。
紅蓮が強い。
ランスロットが速い。
ナイトオブラウンズが強い。
藤堂が指揮をする。
ルルーシュが罠を張る。
そういう戦争だった。
しかしフレイヤは違う。
撃たれたら都市が消える。
戦術も操縦技術も関係ない。
フレイヤの登場で、KMF戦は「うまく戦うゲーム」から「撃たせないゲーム」に変わる。
この変化はかなり良い。
カレンやスザクがどれだけ強くても、フレイヤの前では盤面が変わる。
シュナイゼルがそれをダモクレスに大量搭載した瞬間、世界は「戦争」ではなく「恐怖管理」の段階に入る。
5. ナナリー生存は、正直かなりギリギリである
ナナリーがフレイヤで死んだと思われたあと、実は生きていたと分かる。
物語上は必要である。
ナナリーが生きていて、しかもシュナイゼル側の皇帝候補としてルルーシュの前に出てくることで、終盤の感情が一気に強くなる。
ただ、映像の印象としてはかなり無茶に見える。
フレイヤの光に包まれるような描写がある。
トウキョウ租界では大量の犠牲者が出ている。
それなのに、ナナリーだけ救出されていた。
見ている側としては、「椅子ごとワープしたんか?」となる。
補完設定込みで見れば、ナナリーは脱出艇ごと保護されたと考えられる。しかし本編だけで見ると、「シュナイゼルが救出していた」でかなり処理されている。
ここはご都合感がある。
ただし、ご都合であっても効いている。
ナナリーはルルーシュにとって最大の急所である。
フレイヤより効く。
シュナイゼルは、それを理解した上でナナリーを政治カードにする。
6. ナナリーは、ずっと政治利用されている
ナナリーは本人としては一貫して優しい世界を望んでいる。
だが、周囲から見るとずっと政治カードである。
シャルルにとっては、日本へ送る外交材料のような存在だった。
V.V.には誘拐される。
シュナイゼルには救出された後、皇帝候補として使われる。
ルルーシュにとっては、最初の戦う理由そのものだった。
ナナリー本人は善意で動いている。
だからこそ政治利用されやすい。
シュナイゼルは、ナナリーの善性をよく分かっている。彼女に発射スイッチを握らせれば、「世界のためにナナリーが選んだ」という形にできる。
これは人質より悪質である。
人質は本人の意思に反して使われる。
ナナリーは本人の善意ごと兵器システムに組み込まれる。
目が見えない妹に、世界破壊ボタンを握らせる。
兄妹の愛情を、政治と兵器の最終ロックにする。
シュナイゼルのやり方は、冷たすぎる。
7. ルルーシュの「ナナリーのため」は変質していく
ルルーシュの最初の動機は、かなり明確だった。
ナナリーが安心して暮らせる世界を作る。
母の死の真相を知る。
ブリタニアを壊す。
しかし終盤になると、「ナナリーのため」は変質していく。
ナナリー本人は、守られるだけの妹ではなくなる。総督として政治の場に立ち、自分の理想を持ち、最後はシュナイゼル側の皇帝候補としてルルーシュの前に立つ。
もう、ルルーシュが一方的に守る対象ではない。
それでもルルーシュは、ナナリーの意志すら踏み越えて、ゼロレクイエムを進める。
これは愛情であり、同時に独裁でもある。
「ナナリーが望む世界を作る」ではない。
「ナナリーが泣いても、憎んでも、それでも生きていける明日を作る」である。
だからルルーシュは最後まで嘘をつく。
悪い皇帝として振る舞う。ナナリーを突き放す。フレイヤの鍵も奪う。憎まれる役をやる。
イライラしながら、必死に悪役を演じているように見える。
ルルーシュは、説明すれば許される道を選ばない。
全部引き受ける。
ここがルルーシュらしい。
8. シャルルとマリアンヌの「みんな一つになる」は普通にホラー
シャルルとマリアンヌの目的は、「嘘のない世界」を作ることだった。
一見すると、平和な理想に見える。
嘘がない。
争いがない。
死者とも一つになる。
みんな分かり合える。
しかし、よく考えるとかなり怖い。
嘘がないということは、隠し事がないということだ。
隠し事がないということは、個人の境界がないということだ。
みんな一つになるということは、自分だけの心、自分だけの明日、自分だけの選択が消えるということだ。
これは平和というより、人間終了システムである。
シャルルは、戦争も国家も人間も、自分の計画のための盤面として見ていた。ブリタニアの世界制覇すら、目的というより手段である。
ルルーシュは、そんなシャルルを否定する。
人は嘘をつく。間違える。傷つける。裏切る。それでも、それぞれ別々に明日へ進むべきだ。
ここが親子の分岐点である。
ルルーシュも人を操る。嘘もつく。戦争を盤面として扱う。
しかし最後の最後で、人間の個別性を残す側に立つ。
シャルルは、みんなを一つにして明日を止める。
ルルーシュは、みんなバラバラのまま明日へ行けと言う。
似ているのに、最後だけ真逆である。
9. マリアンヌは本当にいい人なのか
ジェレミアにとって、マリアンヌは忠誠の対象である。
守れなかった主君であり、未完了の忠義であり、自分の人生を賭ける理由だった。
だからジェレミアが「それは我が忠誠の証」と言うのは、本人の中では筋が通っている。
ただ、視聴者目線で見ると、マリアンヌはかなり怪しい。
母としても、人としても、単純な善人ではない。
シャルルの計画に加担し、アーニャの中に潜み、ルルーシュとナナリーの苦しみをかなり軽く見ているようにも見える。
つまり、こう分けると分かりやすい。
- ジェレミア目線:守れなかった主君、忠義の対象
- ルルーシュ目線:自分たちを置き去りにした母
- 視聴者目線:かなり怖い人
ジェレミアの忠義は美しい。
でも、忠義先のマリアンヌはかなりヤバい。
このズレが、ジェレミアというキャラの面白さでもある。
10. アーニャはかなり可哀想
アーニャは、ナイトオブラウンズの一員であり、強キャラとして登場する。
しかし内面を見ると、かなり被害者である。
自分の記憶が信用できない。
写真やブログで記録を残し続ける。
C.C.との接触で干渉が起きる。
実は心の中にマリアンヌが潜んでいた。
これは普通にホラーである。
アーニャ本人は、世界をどうこうしたいタイプではない。
大人たちのギアス、コード、マリアンヌ、シャルル、V.V.の因縁に巻き込まれただけである。
だからこそ、最後にジェレミアとオレンジ畑にいるのは救済に見える。
ジェレミアはギアスキャンセラーを持っている。
アーニャにとっては、自分の中に勝手に入り込んだものを剥がしてくれる存在である。
しかも農園という場所がいい。
戦争でも、皇族でも、ギアス嚮団でも、ダモクレスでもない。
土を触る。
収穫する。
毎日同じ生活をする。
記憶が不安定だった子が、日々の作業で自分を取り戻していく。
ジェレミアは、屈辱のオレンジを生活に変えた。
アーニャは、他人に侵食された人生から、自分の生活へ戻る。
オレンジ畑は、ネタみたいに見えて、コードギアス世界でもかなり安全なエンディングである。
11. オレンジ卿はネタキャラなのに忠義がガチ
ジェレミアは、最初は完全にオレンジネタの人だった。
「オレンジ」は屈辱のあだ名だった。
ゼロにハメられた黒歴史の象徴であり、出世コース崩壊のきっかけでもあった。
それを最後には「我が忠誠の証」に変える。
この反転が強い。
ジェレミアはネタキャラ化しているのに、忠義だけは本物である。
ルルーシュに従う理由も、ギアスで操られたからではない。
マリアンヌへの忠義を貫くため、その息子であるルルーシュを主君と定めた。
この筋の通り方がずるい。
最後にオレンジ畑へ行くのも、ただのギャグではない。
屈辱だった名前を、自分の生活に変えた。
ジェレミアは、敗北と改造と屈辱の人生を、最後に自分の手で回収したキャラである。
12. カレンは強すぎるが、終盤の立ち位置は分かりにくい
カレンは強すぎる。
紅蓮聖天八極式は、ほぼバグ機体である。
有線式の輻射波動腕、エナジーウイング、高機動、圧倒的な近接戦闘力。カレンが乗ると、戦場が突然スーパーロボット大戦になる。
局地戦だけなら「もうカレン単騎でいいんじゃないですかね」と言いたくなる。
ただ、終盤のカレンは思想の立ち位置が少し分かりにくい。
もともとの動機は、兄ナオトの遺志、日本人としての尊厳、ブリタニア支配への反抗、ゼロへの信頼だった。
しかし終盤では、ゼロがルルーシュだと分かる。ルルーシュはブリタニア皇帝になる。黒の騎士団はシュナイゼル側に近い配置になる。
ここでカレンの戦う理由が霧に包まれる。
ブリタニアと戦っていたはずなのに、シュナイゼルもブリタニア皇族である。フレイヤ支配も危険である。ルルーシュが悪の皇帝に見えるのは分かるが、シュナイゼル側に立つのも正義とは言い切れない。
おそらくカレン本人は、シュナイゼルのために戦っているつもりではない。
黒の騎士団の仲間を守る。
ルルーシュ皇帝を止める。
スザクと決着をつける。
ルルーシュに自分なりの答えをぶつける。
そういう感情と所属で動いている。
ただ、脚本上は「最後に紅蓮とランスロットを戦わせたい」という配置都合もかなり見える。
カレンは、ルルーシュの嘘に気づけそうな人物である。
それでも最終話の瞬間まで、完全には気づけない。
気づく女なのに、気づくのが一話遅い。
そこがもどかしい。
13. ビスマルク、設定は強いのに絵面が面白い
ビスマルクはナイトオブワンであり、帝国最強の騎士である。
ギャラハッド、大剣エクスカリバー、未来を読むギアス。
設定だけならめちゃくちゃ強い。
しかし戦闘中の絵面が妙に面白い。
置き電話っぽい通信機を使っているように見える場面があり、帝国最強の騎士が急に戦場の電話番みたいになる。
しかもスザクはそれを見ながら後ろ向きに下がっていく。
見た目だけだと、
電話する騎士 vs 後ろ向きに逃げる男
である。
実際には、未来予知ギアスと「生きろ」ギアスのぶつかり合いという高次元バトルである。
でも画面だけ見ると少し笑える。
コードギアスはこういう、設定はかっこいいのに画面が妙にシュールな瞬間がある。
それも魅力の一つである。
14. ディートハルトはクズだが筋は通っている
ディートハルトは、終盤までしれっと生き残っている。
彼はゼロに忠誠を誓っているように見えるが、実際には「ゼロという最高のコンテンツ」を追っている人間である。
だから黒の騎士団がゼロを切る場面でも、扇のように「騙された!」ではない。
もっと冷たい。
ゼロの物語が面白くなくなったから降りる。
ディートハルトはプロデューサー目線でゼロを見ている。
その意味では、かなり一貫している。
終盤、ルルーシュがシュナイゼルをギアスで落としたあと、ディートハルトは自分にもギアスを求める。しかしルルーシュに「かける価値もない」ように扱われる。
ここがディートハルトの終着点である。
扇は被害者顔で裏切る。
ディートハルトは番組打ち切り判断で裏切る。
シュナイゼルは全部利用する。
ディートハルトはクズだが、キャラとしては筋が通っている。
15. ルルーシュの録画トリックは、時間どこにあったのか問題
ダモクレス内部でのルルーシュとシュナイゼルの頭脳戦は、かなりかっこいい。
しかし冷静に見ると、ルルーシュの作業量が多すぎる。
フレイヤ・エリミネーターの環境データ入力。
スザクの突入。
ダモクレス内部への移動。
ナナリーの鍵の奪取。
シュナイゼルの逃走ルートの読み。
護衛へのギアス仕込み。
シュナイゼル用の録画会話。
しかも録画なのに、会話が自然に噛み合う。
普通に考えると、「時間どこにあったねん」となる。
理屈としては、ルルーシュはシュナイゼルの行動パターンを読み切っていたのだろう。
シュナイゼルは勝てない勝負をしない。
ダモクレスもフレイヤも機械だから捨てられる。
自分が死んでも平和になるなら構わないと言う。
ルルーシュが直接そこにいると思い込む。
ここまで読んで、録画映像を仕込んでいた。
ただ、それでも精度が高すぎる。
ディートハルトが「これは生放送ではなく収録だ」と気づくのはキャラに合っている。
報道マンとして、プロデューサーとして、映像の違和感に気づく。
あそこはディートハルトの最後の見せ場でもある。
16. ルルーシュの体力だと、絶対ハアハアしている
ルルーシュは頭脳キャラである。
チェス、演技、嘘、指揮、ギアス、戦略。
ここは強い。
しかし身体能力は高くない。
だから終盤、ダモクレス内部を走り回っているルルーシュを見ると、絶対どこかで息が上がっていると思ってしまう。
ナナリーのところへ向かう。
通路を移動する。
シュナイゼルの罠を仕込む。
ラスボス顔を維持する。
本来なら、角を曲がったところで壁に手をついて「ハァ……ハァ……」となっていてもおかしくない。
コードギアス終盤は、ルルーシュの知力補正が強すぎて、体力の低さまで演出で踏み倒している。
スザクやカレンなら分かる。
ルルーシュはたぶん無理している。
そこも少し面白い。
17. 学園パートの1on1で言えなかったことが、戦場で爆発する
コードギアスは、表面上はロボット戦争アニメである。
しかし本質的には、かなり人間関係の話である。
しかも、1対1で本音を言えば済むかもしれない話を、嘘と役割で潰して、最後に戦場で何万人も巻き込んで決着させる話である。
ルルーシュとスザク。
ルルーシュとカレン。
ルルーシュとナナリー。
ルルーシュとシャーリー。
ルルーシュとユフィ。
本当は、話すべき相手がたくさんいる。
しかしルルーシュは、説明しない。
嘘をつく。
役割を被る。
ゼロになる。
皇帝になる。
そして戦場で処理する。
KMF戦は、単なる戦闘ではなく、言えなかった本音の代替手段になっている。
カレンとスザクの戦いも、単なる最強パイロット対決ではない。
ルルーシュをどう見るか。
ゼロを信じるのか。
裏切りと罪をどう処理するのか。
それらの代理戦争になっている。
しかし、その横で普通に兵士も市民も死ぬ。
ここがコードギアスの怖さである。
戦争があるから人間関係が壊れるだけではない。
人間関係の嘘、未処理、逃げ、誤解が、戦争をさらに大きくする。
ゼロレクイエムもその究極形である。
ルルーシュは最後まで世界に本当の説明をしない。
「俺は悪です」という最大の嘘をついて、世界中を巻き込んで、自分の死で処理する。
かっこいい。
でも歪んでいる。
これがルルーシュである。
18. C.C.とチーズくんは、重い世界の中の日常である
C.C.は、世界の裏側を知る存在である。
ギアスを与え、不老不死で、人間の歴史を見続けてきた。シャルルやV.V.、マリアンヌとも因縁がある。普通なら、かなり超越した存在である。
でも、終盤のC.C.は不安そうに見える。
ルルーシュが何をしようとしているのか察している。ゼロレクイエムがどういう結末になるのかも、かなり分かっている。だからこそ、他人事ではいられない。
そこでチーズくんである。
C.C.がずっと持っている黄色いぬいぐるみ。枕にもする。抱える。そばに置く。
最初は完全にネタである。
不老不死の魔女が、ピザとぬいぐるみを愛用している。
しかし見直すほど、チーズくんはC.C.の相棒に見えてくる。
人間は死ぬ。
契約者は壊れる。
愛された記憶も呪いになる。
でも、ぬいぐるみは何も言わない。裏切らない。責めない。ただそこにいる。
チーズくんは、C.C.にとってのメンタルクッションであり、世界の地獄を見すぎた女に残った小さな日常なのかもしれない。
ルルーシュが世界の憎悪を背負う横で、C.C.はチーズくんを抱えて見届ける。
絵面は草。
でも、感情は重い。
19. V.V.は黒幕だが、早めに退場してよかった
V.V.はかなり根っこの黒幕である。
シャルルの双子の兄であり、ギアス嚮団の教主であり、マリアンヌ事件やナナリー誘拐にも関わる。
設定上はかなり重要な人物である。
ただ、物語上は早めに退場してよかったと思う。
V.V.が終盤まで残ると、話がギアス嚮団の因縁に寄りすぎる。
R2終盤は、シャルルとマリアンヌの思想、シュナイゼルの恐怖支配、ルルーシュのゼロレクイエムへ焦点を移す必要があった。
V.V.は、黒幕としてやるべきことを終えた。
ナナリーを誘拐した。
ギアス嚮団を動かした。
マリアンヌ事件の因縁を作った。
シャルルがコードを得る踏み台になった。
その後は退場した方が、物語は締まる。
V.V.は設定上は重要だが、終盤まで居座るとメインディッシュを食い散らかすタイプの黒幕である。
20. リヴァルのアルバムは、普通の人間の悲しさである
リヴァルがアルバムを見ている場面は、かなり切ない。
彼は学園の日常側の友達だった。
ルルーシュと遊び、サイドカーに乗り、普通の高校生活をしていた。
しかし周りはどんどん普通ではなくなる。
ルルーシュは皇帝になる。
スザクはゼロになる。
カレンは黒の騎士団のエースになる。
ナナリーは政治利用される。
シャーリーは死ぬ。
ニーナはフレイヤを背負う。
ミレイは学園を出る。
そしてリヴァルは、アルバムを見る。
リヴァルだけが、戦争の盤面に乗り切れない。
これは無能だからではない。
普通の人間だからである。
ギアスもない。KMFにも乗らない。政治カードにもならない。世界を変える力もない。
だから、できることは写真を見ることだけである。
コードギアスの学園パートは、最後に振り返るとかなり残酷だ。
あれは守られた日常ではなかった。
戦争に飲み込まれる前の一時停止画面だった。
21. ナナリーに分かってもらえたことは、ルルーシュの救いだった
最終話で、ナナリーはルルーシュの手に触れる。
映像上は、まるで記憶を読んだように見える。
ただ、能力で記憶を見たというより、手の感触、震え、汗、状況証拠、兄妹としての理解が一気につながったと解釈するのが自然だろう。
ナナリーは気づく。
兄は本当に世界を壊し、世界を創ろうとしていた。
自分のためだけではなく、自分が生きる明日のために、世界中から憎まれる役を引き受けていた。
ここでルルーシュは、ようやくナナリーに分かってもらえた。
それは救いである。
だが、ナナリーにとっては地獄でもある。
分からないままなら、「兄は悪の皇帝だった」と思って生きられたかもしれない。
しかし分かってしまった。兄が自分を愛していたことも、世界のために死んだことも、自分を突き放す嘘をついていたことも、すべて分かってしまった。
理解できた瞬間に、兄は死ぬ。
救いなのに残酷。
これがコードギアスらしい。
22. ゼロレクイエムは、ルルーシュとスザクの地獄の噛み合いである
ゼロレクイエムは、ルルーシュだけの計画ではない。
スザクがいなければ成立しない。
ルルーシュは、全部自分が悪いでいいと引き受けるタイプである。
スザクは、自分は罰されるべきだと思い続けるタイプである。
この二人が噛み合うと、こうなる。
ルルーシュは、世界の憎悪を全部背負って死ぬ。
スザクは、ゼロとして生き続ける。
ルルーシュは死で支配を終わらせる。
スザクは生で罰を受け続ける。
美しい。
でも地獄である。
ルルーシュは説明すれば救われる可能性を捨てる。
スザクは自分の名前で生きる未来を捨てる。
ナナリーは兄の真意を理解した上で失う。
C.C.は見届ける。
カレンは日常へ戻る。
リヴァルはアルバムを見る。
世界は前へ進む。
でも、それぞれの個人には大きな傷が残る。
23. 10回目の最終話は、泣くより構造を見る
初見の最終話は泣ける。
ゼロの正体。
ルルーシュの死。
ナナリーの叫び。
スザクの罰。
C.C.の見送り。
感情の波が強い。
しかし何度も見ていると、泣くよりも構造を見るようになる。
ここでカレンが気づくのか。
ナナリーはここで全部つながったのか。
ジェレミアは止めないのか。
C.C.は泣き叫ばずに見届けるのか。
チーズくん、まだいるのか。
泣かなくなったから感動が消えたわけではない。
初見の衝撃が、理解済みの美しさに変わっただけである。
そして見終わると、やっぱりこうなる。
終わっちゃったなあ。
ルルーシュは死んだ。
スザクはゼロとして生きる。
ナナリーは理解してしまった。
C.C.はチーズくんと見送った。
カレンは日常へ戻った。
ジェレミアとアーニャはオレンジ畑へ行った。
リヴァルは普通の人間として残った。
世界は進む。
でも視聴者だけが、少し置いていかれる。
コードギアスは、終わり方がきれいすぎるから寂しい。
それでも、あの終わり方だからこそ、何度も見返したくなるのだと思う。
まとめ:R2終盤は、理屈で見るとガバい。でも感情で見ると強い
コードギアスR2終盤は、ツッコミどころが多い。
黒の騎士団の裏切りは急に見える。
扇の断罪は腹立つ。
ギアスを否定してフレイヤに乗るのは変である。
ナナリー生存はかなりご都合に見える。
ダモクレスは巨大建築物が急に生えたように見える。
カレンの立ち位置も少し分かりにくい。
ルルーシュの録画トリックも作業時間がおかしい。
でも、それでも面白い。
なぜなら、感情の流れが強いからである。
ルルーシュは全部引き受ける。
スザクは罰を生きる。
ナナリーは最後に理解する。
C.C.は見届ける。
カレンは日常へ戻る。
ジェレミアはオレンジを誇りに変える。
アーニャは自分の生活を取り戻す。
リヴァルは普通の人として残る。
この終わり方が強い。
コードギアスR2終盤は、理屈で見るとガバい。
感情で見ると強い。
そして見終わると、やっぱり少し寂しい。
それがこの作品の魔力である。
関連記事・内部リンク候補
本記事から派生できる記事
- ゼロレクイエムとは何だったのか
- 黒の騎士団の裏切りはなぜモヤるのか
- 扇要はなぜ嫌われるのか
- フレイヤとギアス、どちらが卑怯なのか
- シュナイゼルの恐怖支配とダモクレス
- ナナリーは政治利用され続けたのか
- C.C.とチーズくんはなぜ相棒に見えるのか
- ジェレミアとアーニャのオレンジ畑エンド考察
- カレンは終盤なぜ黒の騎士団側で戦ったのか
- アッシュフォード学園は守られた日常だったのか
既存記事に差し込めそうな内部リンク文
- ゼロレクイエムの構造については、ゼロレクイエムとは何だったのかでも詳しく整理できる。
- 黒の騎士団の判断に違和感がある場合は、黒の騎士団の裏切りはなぜモヤるのかに分けると読みやすい。
- シュナイゼルの支配構造は、シュナイゼルの恐怖支配とダモクレスとして独立記事化できる。
- C.C.とチーズくんの関係は、C.C.とチーズくんはなぜ相棒に見えるのかで軽めの記事にしてもよい。
- ジェレミアとアーニャの救済は、ジェレミアとアーニャのオレンジ畑エンド考察として別記事化しやすい。
English SEO Metadata
Description
A spoiler-heavy analysis of Code Geass R2's final arc, covering the Black Knights' betrayal, Ohgi, F.L.E.I.J.A., Damocles, Schneizel, Nunnally, C.C., Cheese-kun, and the Zero Requiem.
Suggested English Slug
code-geass-r2-final-analysis-zero-requiem
English Keyword Ideas
- Code Geass R2 ending explained
- Zero Requiem analysis
- Black Knights betrayal
- Ohgi betrayal Code Geass
- Schneizel Damocles FLEIJA
- Nunnally Code Geass ending
- C.C. Cheese-kun
- Jeremiah Orange farm ending
- Kallen final battle
US Audience Note
英語圏向けに出す場合は、本文をそのまま翻訳するより、以下の切り口に分けた方が読まれやすい。
- Ending Explained:ゼロレクイエム中心
- Character Analysis:ルルーシュ、スザク、ナナリー、C.C.
- Plot Criticism:黒の騎士団の裏切り、扇、フレイヤ、ダモクレス
- Symbolism:チーズくん、オレンジ畑、学園アルバム
参考・出典
- コードギアス 反逆のルルーシュR2 公式サイト TURN19「裏切り」
https://geass.jp/r2/story_19.html - コードギアス 反逆のルルーシュR2 公式サイト TURN23「シュナイゼル の 仮面」
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