人は、完全におかしなことを言う人より、部分的に正しいことを言う人に振り回されやすい。
リーダー研修で、信頼の大切さを語る。受け手の気持ちになって話せと言う。圧をかけないことが大事だと説明する。部下の主体性を引き出すべきだと言う。
ここだけ聞けば、内容は正しい。
しかし、その直後に、個別の場面で圧をかける。
「書くな」 「今書いても価値ない」 「ちゃぶ台返しする」 「けちょんけちょんにする」
こうなると、受け手は混乱する。
なぜなら、発言内容と実装行動が一致していないからである。
この矛盾は、単なる「言い方が強い」では済まない。
部下側に入る学習はこうなる。
早めに出すと危ない。
自分で考えると潰される。
未完成を見せると攻撃される。
指示が出るまで止まった方が安全。
言われたことだけやるのが最適。
つまり、研修で語っていた主体性や信頼を、研修後の行動で壊している。
ここで大事なのは、「言っていることが正しいか」と「その人が実装できているか」を分けることである。
正しいことを言っているから、その人が正しいとは限らない。
嫌いな人が言っているから、その内容がすべて間違いとも限らない。
内容は素材として回収する。
実装は別で評価する。
この切り分けができると、反芻は減る。
「あの人は正しいのか間違っているのか」ではなく、
「話している一般論は正しい。ただし、本人は自己適用できていない」
と処理できるからである。
矛盾する人を整合的に理解しようとすると疲れる。
矛盾は矛盾として置き、一般論だけ回収し、実装能力は信用しない。
これが、削られないための現実的な処理である。
