結論――負ける。だが「プロハンター全員が弱い」ではない
ポックルは正式なプロハンターであり、念能力者である。
それでも、パイクに最速の矢を止められ、ザザン隊に捕獲される。
NGLには複数組のハンターが入っていたが、連絡が途絶え、事態を止められない。
これだけを見ると、
兵隊長級でもプロハンターより強いなら、インフレしすぎではないか
となる。
半分は正しい。
キメラアント編では、敵側の最低身体能力が大幅に上がっている。
しかし、もう半分には注意が必要である。
ハンターライセンスは、戦闘力の等級ではない。
ハンターは職業資格であり、戦闘員ランクではない
ハンターには専門分野がある。
- 幻獣
- 賞金首
- 遺跡
- 食
- 医療
- 音楽
- 情報
- 生物調査
- 遺失物
など、目的はさまざまである。
試験を通過し、念を習得しても、全員が対人戦闘の専門家になるわけではない。
ポックルは、追跡、薬物、弓、幻獣探索へ適性がある。
七色弓箭も、遠距離から獲物の性質に応じて矢を使い分ける能力である。
しかし、近接戦闘で強化系の怪物を倒すために作られた能力ではない。
プロの幻獣ハンターであることと、プロの対念戦闘員であることは別である。
ポックルは、パイクに完全敗北したわけではない
パイクは橙の矢を止める。
これは圧倒的な反応速度を示す。
一方、ポックルも下級兵を赤の矢で倒している。
さらに、パイクの四本の腕をふさぎ、接近して打撃を入れ、次の矢を至近距離から狙うところまで持ち込む。
パイクの生物性能はポックルより高い。
しかし、戦闘技術と判断まで含めれば、一方的ではない。
最終的に勝敗を決めたのは、ザザンの背後からの介入である。
つまりNo.190は、
プロハンターが兵隊長に何もできず負けた
ではない。
より正確には、
プロハンターが、念未習得の兵隊長の素体性能に驚かされ、複数の蟻による狩りと能力差に対応し切れず捕獲された
である。
それでも十分にヤバい。
カイトが設定した最低ラインは「兵隊を一対一で倒せること」
ラモット戦で、カイトはゴンとキルアへ戦わせる。
兵隊一体を倒せないなら帰れ、という判断である。
これは、NGLで行動する実戦チームに必要な最低ラインを示している。
カイト自身は、複数の兵隊長級を処理できる。
グリードアイランド後のゴンとキルアも、実戦を重ねれば兵隊長級を一対一で倒せるようになる。
つまり、上位のプロや戦闘向けの念能力者なら、兵隊長へ対応できる。
問題は、その水準がハンター全体の平均ではないことである。
師団長以上になると、戦闘専門家でも相性と経験が必要
ヂートゥは、ナックルを速度で圧倒する。
しかしモラウは、相手の性格、能力条件、判断の浅さを利用して勝つ。
レオルは、借りた能力と地形を組み合わせ、モラウを水中へ追い込む。
モラウは肺活量、煙、観察力、心理誘導で逆転する。
ザザンは、幻影旅団のフェイタンを相手に、変身後の硬さで攻撃を通させない。
フェイタンは、受けた痛みを高熱へ変える能力で倒す。
ここでは、単純なオーラ量だけで勝敗が決まらない。
- 能力の相性
- 情報の有無
- 地形
- 経験
- 挑発への耐性
- 撤退判断
- 必殺技の条件
が必要になる。
キメラアント編はインフレしている。
しかし、数字の大きい方が必ず勝つ作品にはなっていない。
本当のインフレは「一体の強さ」より「量産速度」
王や護衛軍は規格外である。
ただし、人類にとって本当に危険なのは、同じ規格外個体を何体も作る必要がないことだ。
兵隊長級が、
- 念能力者を殺せる
- 念攻撃を受けて覚醒できる
- 人間を捕食して次世代を強化できる
- 数週間単位で増える
- 組織として狩りをする
だけで、地域のハンターや軍隊は崩壊する。
通常の少年漫画のインフレは、主人公より強い敵が一人ずつ出てくる。
キメラアント編のインフレは、
中ボス級の基礎性能を持つ生物が、繁殖し、学習し、念を共有し、軍隊になる
ことである。
これは戦闘力インフレというより、脅威の産業化である。
プロハンターの強さには極端な幅がある
ポックルと、カイト、モラウ、ノヴ、ネテロは、全員ハンターである。
しかし、戦闘経験、オーラ量、能力設計、任務適性は同じではない。
「プロハンター」という一語でまとめると、
- ライセンス取得直後
- 専門分野の調査員
- 念を覚えたばかり
- 実戦経験の多い賞金首ハンター
- 協会最高峰の戦闘員
が同じ箱へ入る。
だから、
プロハンターでも倒せない
は正しい場合がある。
ただし、
兵隊長はプロハンターより常に強い
ではない。
結論
キメラアント編では、平均的・若手・非戦闘専門のハンターが、兵隊長級へ負ける可能性は十分にある。
一方、カイトやモラウ級の実戦者なら、兵隊長は任務続行の最低条件に近い。
したがって、戦力感は次のように整理できる。
一般人・通常兵器の兵士
<<
下級キメラアント
≲
若手・非戦闘型の念能力者
≲
念を覚えた兵隊長
<
熟練の戦闘系ハンター
≲
師団長級
<<
護衛軍
<
メルエム
ただし、これは固定ランキングではない。
能力相性と状況で上下する。
それでも、兵隊長が若手プロの生存を脅かす時点で、人間側の層が薄すぎる。
数で来られたら終わる。
