はじめに:久しぶりに見ても、やっぱり面白い
数年ぶりに『コードギアス 反逆のルルーシュ』を見返している。
3周目くらいの再視聴だと思う。
昔は中学生の時に刺さった。
その時は、かなり厨二病の入口で刺さった。
黒い仮面。
絶対遵守の力。
王族の血筋。
復讐。
天才主人公。
親友が敵側。
学園では普通の高校生、裏では革命家。
中学生男子の脳には、あまりにも直撃する。
でも、今見返すと、刺さる場所が少し違う。
昔は「ルルーシュかっけえ」だった。
今は「ルルーシュの願いが変質していくのがいい」になる。
最初はナナリーのためだった。
母の死の真相を知りたかった。
父とブリタニアに復讐したかった。
ナナリーが安心して暮らせる世界を作りたかった。
それが、黒の騎士団になり、日本解放になり、ブリタニア打倒になり、最後には世界の憎しみを自分に集めるゼロレクイエムへ向かう。
願いが個人的なものから、世界の構造そのものに広がっていく。
そして最後には、自分自身をその願いの代償にする。
ここが強い。
コードギアスは、ただの頭脳戦アニメではない。
頭が良すぎる男が、感情の願いを叶えるために世界を巻き込み、最後に自分ごと物語を閉じる話だ。
1話で刺さる人と、2〜3話で寝る人
コードギアスは、刺さる人には1話で刺さる。
しかし、刺さらない人には2〜3話で普通に寝られるタイプの作品でもある。
なぜか。
コードギアスは、絵柄や雰囲気で見る作品ではないからだ。
今の感覚で見ると、絵は少し古い。
CLAMP由来の線の細さや、キャラの癖も強い。
ロボット、戦争、占領、差別、政治、固有名詞が序盤から出てくる。
「絵がかわいい」
「画面が綺麗」
「雰囲気が癒やされる」
「キャラの見た目で刺さる」
そういう入口の人には、入りづらいことがある。
一方で、構造で見る人には刺さる。
- 正体隠し
- 頭脳戦
- 復讐
- 支配構造
- 願いの変質
- 敵味方の反転
- 親友同士の思想対立
- 取り返しのつかない選択
- 主人公が悪役化していく美学
このあたりにアンテナがある人には、かなり刺さる。
だから、コードギアスを見せた時に相手が寝ても、それは作品がつまらないというより、受信チャンネルが違うということだと思う。
絵柄で入る人と、構造で入る人は、見ている場所が違う。
5話までは助走、7話からギアが上がる
久しぶりに見返すと、「あれ、5話くらいまで見ても、まだ連続で面白ええええという感じではないな」と感じることがある。
これは記憶違いではなく、たぶん構造的にそうだと思う。
序盤はまだ配置フェーズだ。
1話で世界観とギアスを見せる。
2〜4話で、ルルーシュ、スザク、学園、ブリタニア、ゼロ活動の二重構造を作る。
5〜6話では、キャラと立場を広げる。
そして7話あたりで、作品の格が一段上がる。
7話「コーネリアを撃て」で、ルルーシュは普通に負ける。
ここが重要だ。
それまでは、ルルーシュにはかなり無敵感がある。
ギアスがある。
頭がいい。
盤面を読める。
ブリタニア軍を撹乱できる。
サザーランドも奪える。
しかし、コーネリアには通じない。
指揮官としての経験。
部隊の練度。
兵士の統制。
戦場での読み合い。
コーネリア本人の格。
ルルーシュは、個人の天才だけでは戦争に勝てないと叩き込まれる。
この負けがあるから、黒の騎士団を作る意味が出る。
「ギアスと頭脳だけでは勝てない。駒がいる。組織がいる。戦力がいる」という話になる。
だから、7話は人気爆発回というより、作品が本格的に走り出すための重要な負け回だと思う。
8話で黒の騎士団が形になり、10〜11話のナリタ周辺で、いよいよ「毎週おもしれえな、これ」という中毒状態に入っていく。
毎話「おもしれええええ」で終わる構造
コードギアスの強さは、毎話の終わり方にある。
1話の中でだいたいこう動く。
ルルーシュが状況を読む。
作戦を組む。
勝てそうになる。
予想外の駒が出る。
盤面がひっくり返る。
次回どうするのか分からなくなる。
だから、毎話「面白かった」ではなく、「おもしれええええええ」となる。
コードギアスは、単に謎を残すだけではない。
状況と感情を同時に壊す。
作戦はどうなるのか。
正体はバレるのか。
こいつは味方なのか敵なのか。
その選択をして大丈夫なのか。
ルルーシュはそれを背負えるのか。
こういう複数レイヤーの未完了通知が残る。
普通のアニメなら、事件が起きて解決する。
コードギアスは、事件が起きて、一応解決したかと思ったら、関係性や盤面が不可逆に変わる。
元の状態には戻れない。
この連続が強い。
リアルタイム勢はなぜ発狂したのか
今は配信でR2まで一気に見られる。
だから1期最終話の銃声ENDも、「うわ、すごい引きだな。次を見るか」で済む。
しかし、リアルタイム勢はそうではない。
1期終盤で、ゼロの正体がスザクにバレる。
カレンにもバレる。
ナナリーは攫われる。
黒の騎士団は放置。
C.C.とオレンジは海へ。
ニーナは爆弾。
ルルーシュとスザクが銃を向け合う。
銃声。
終了。
原作はない。
次に何が起こるか誰も知らない。
続きもすぐには見られない。
これは、楽しみというより怒りが湧くのも分かる。
「続きが楽しみ!」より、
「は?」
「ここで終わるな」
「撃ったのどっちだよ」
「ナナリーどうすんだよ」
「黒の騎士団は?」
「2期いつだよ」
になる。
好きだからこそキレる。
興味がなければ、そもそもキレない。
コードギアス1期最終話は、視聴者全員に巨大な未完了通知を投げつけた。
あれは作品内のキャラだけでなく、視聴者の体くんにもコルチゾール案件を発生させている。
原作なしの覇権オリジナルで、全員が同時に答えを知らない。
この体験は今ではかなり貴重だと思う。
最近、コードギアス級のオリジナルアニメが少なく感じる理由
最近もアニメオリジナルの良作はある。
『リコリス・リコイル』はキャラが強い。
ちさたきの関係性が強い。
見やすい。
セリフの瞬間火力もある。
「心臓が逃げる!」は普通に面白い。
ただ、コードギアスとはジャンルが違う。
リコリコは、キャラと関係性の強さで現代的に跳ねた作品だと思う。
コードギアスは、物語そのものが毎話爆弾を投げてくる覇権オリジナルだ。
原作なし。
先が読めない。
主人公が毎話やらかす。
敵味方が高速で入れ替わる。
引きが強い。
謎が多い。
思想対立がある。
政治劇がある。
厨二力がある。
最後にゼロレクイエムまで行く。
この条件が揃う作品は、なかなかない。
今の覇権級アニメは、漫画・ラノベ・ゲーム・ソシャゲ原作が多い。
原作勢が先を知っている。
アニメ勢は追う。
SNSでネタバレも流れる。
作品数も多すぎて、1本に執着し続けにくい。
だから、全員で同じ未完了通知を食らい、イライラしながら待つ体験が起きにくい。
コードギアスは、集団コルチゾール型の覇権オリジナルだった。
進撃の巨人とコードギアスは近いのか
『進撃の巨人』が好きな人は、コードギアスも刺さる可能性があると思う。
共通点は多い。
世界が最初から残酷。
支配構造がある。
敵味方が単純ではない。
主人公の願いが変質していく。
正義のために取り返しのつかないことをする。
家族、民族、国家、憎しみの連鎖が絡む。
途中から主人公を見る目が変わる。
進撃は、地獄を直視する作品だ。
コードギアスは、地獄を舞台装置にして、天才が盤面を動かす作品だ。
進撃は、生々しい。
コードギアスは、芝居がかっていて厨二的だ。
だから完全に同じではない。
進撃が好きでも、ロボが苦手、厨二が苦手、学園パートが苦手ならコードギアスは刺さらないかもしれない。
コードギアスが好きでも、進撃の生々しいグロさや絶望感が無理な人もいる。
それでも、大きな構造としては近い。
どちらも、主人公の願いが世界規模の地獄へ変質していく話である。
ルルーシュとスザク:敵味方が高速で入れ替わる関係
コードギアスの面白さの中心に、ルルーシュとスザクがいる。
この2人は、プライベートでは仲がいい。
昔の友達。
互いの過去を知っている。
ナナリーのことも知っている。
アッシュフォード学園では日常側の関係として話す。
しかし、戦場では敵になる。
片方はゼロ。
片方はブリタニア軍のエース。
片方は外から世界を壊す。
片方は中から変えると言う。
片方は嘘を使う。
片方は正しさに縛られる。
でも、願っている世界は意外と近い。
だからきつい。
ルルーシュにとってスザクは、最悪の駒だ。
制御不能。
強すぎる。
読めない。
味方にしたい。
でも敵にいる。
しかも友達だから切り捨てきれない。
スザクにとってルルーシュも、最悪の友達だ。
昔の親友。
でもゼロなら許せない。
しかもユフィの件で完全に壊れる。
敵だけど敵ではない。
友達だけど味方ではない。
このズレが、最後まで物語を動かす。
ナナコン:ルルーシュと番長
ルルーシュの願いの中心には、ナナリーがいる。
ナナリーが幸せに暮らせる世界を作る。
そのためにブリタニアを壊す。
そのために世界を変える。
かなりナナコンである。
ただ、ただの妹好きというより、ナナリーが「世界を変える理由」になっている。
似た構造で思い出すのが、ペルソナ4の番長と菜々子だ。
番長にとって菜々子は、守りたい日常の象徴だ。
菜々子が「お兄ちゃん」と言うだけで、世界に帰る理由になる。
違いはこうだ。
ルルーシュのナナコンは、世界改変型。
ナナリーのために革命し、支配し、悪役になる。
番長のナナコンは、日常防衛型。
菜々子がいる堂島家の日常を守る。
ルルーシュにとってナナリーは、この世界を変える理由。
番長にとって菜々子は、この世界に帰る理由。
ナナは強い。
親子:シャルルとルルーシュは似すぎている
ルルーシュは父シャルルを憎んでいる。
しかし、構造を見ると、かなり似ている。
シャルルは、嘘だらけの世界が嫌だった。
だから世界そのものを作り替えようとした。
子どもの意思は置いていく。
自分の理想を世界に適用する。
ルルーシュは、ナナリーが傷つく世界が嫌だった。
だから世界そのものを作り替えようとした。
ナナリー本人の意思を置いていく時がある。
自分の理想を世界に適用する。
似すぎている。
シャルルとルルーシュは、親子なのだ。
違うのは最後の処理である。
シャルルは、自分たちの理想世界に全員を巻き込もうとした。
ルルーシュは、自分が悪役になって世界から退場した。
どちらも世界を変えようとした。
どちらも身内への執着が根にある。
でも、最後に責任をどこへ置くかが違う。
シャルルは世界を巻き込んだ。
ルルーシュは自分を差し出した。
ここがゼロレクイエムの強さだと思う。
V.V.の「にいさん!」が元凶すぎる
ルルーシュ幼少期の襲撃、つまりマリアンヌ暗殺事件の真相も、かなりコードギアスらしい。
表向きはテロリストの襲撃。
しかし真相は、V.V.がマリアンヌを撃った。
理由は嫉妬である。
シャルルとV.V.は、嘘のない世界を作る同志だった。
互いに嘘をつかない約束をしていた。
でもシャルルがマリアンヌと深く結びついていく。
V.V.は、兄を取られたように感じた。
そしてマリアンヌを撃った。
世界規模のラグナレク計画の裏にある火種が、
にいさん!
なのがすごい。
ルルーシュの人生を壊した事件。
ナナリーの人生を変えた事件。
ブリタニアへの反逆の起点。
それが、V.V.の嫉妬から始まっている。
コードギアスは、世界史を動かしているのがだいたい身内の感情バグである。
ルルーシュはナナリー。
シャルルはマリアンヌとV.V.。
V.V.は兄さん。
スザクは父殺し。
ユフィは善意。
ロロは兄弟愛。
みんな、身内への執着で世界を巻き込む。
ブリタニア王族、普通に戦場に出されすぎ問題
ブリタニアは、王族の扱いもかなり終わっている。
皇子皇女が普通に戦場に出る。
統治に使われる。
指揮官になる。
政治的な駒になる。
失敗したら死ぬ。
コーネリアは前線指揮官。
ユフィは副総督として占領統治の場に出る。
クロヴィスはエリア11総督。
シュナイゼルは政治と軍略の中枢。
ルルーシュとナナリーは政治的人質のように日本へ送られる。
ブリタニアは、王族を守る気があるというより、王族こそ帝国運営の駒なのだ。
シャルルの弱肉強食思想と合っている。
強い者が進む。
競え。
奪え。
皇族でも例外ではない。
だからルルーシュが「父も国もクソ」となるのは自然だ。
ブリタニアは、国家というより巨大な家庭内サバイバルである。
ナイトメアフレーム:サザーランド強すぎ問題
本編時点でサザーランドを見ると、量産機なのにかなり強い。
ランドスピナーで高速移動する。
ファクトスフィアで索敵する。
スラッシュハーケンで立体機動する。
アサルトライフルや近接戦もできる。
脱出機構もある。
しかも量産されている。
従来兵器中心の相手からすれば、かなり理不尽だ。
日本が1か月で負けるのも分かる。
ただし、ブリタニアが日本侵攻時に使った主力は、厳密にはサザーランドよりグラスゴー寄りだと思う。
本編時点ではサザーランドが主力として見える。
それでも、本編でサザーランドを見ると、
これが標準装備の帝国と戦うのは無理では?
となる。
他国も後にはナイトメアを持っている。
中華連邦にはガン・ルゥ系。
EUにも独自機体。
日本側も鹵獲や京都ルートで無頼、紅蓮へ進む。
しかし、ブリタニアは先に実戦投入し、量産し、占領戦で使いこなした。
ナイトメアで戦争のルールを変えた側だった。
猫回:ゼロ、猫に負けかける
6話の猫回は、ギャグ回として見られる。
ゼロの仮面を猫のアーサーが持って逃げる。
学園中で追いかける。
ルルーシュが焦る。
しかし、冷静に見るとかなり危ない。
ゼロの仮面が学園内で流出。
生徒会メンバーが追う。
スザクがいる。
カレンがいる。
シャーリーがいる。
猫が予測不能。
ルルーシュ本人が焦って不自然な動きをする。
現実なら、屋根の上に落ちた時点で誰かに見られている可能性が高い。
2階の窓から見える。
屋上や渡り廊下から見える。
誰かがスマホで撮る。
教師が拾う。
ミレイ会長が察する。
カレンが違和感を持つ。
アニメだからギリギリセーフになっただけで、現実ならほぼアウトだと思う。
そして、もし正体がバレたら、かなり重い。
一般生徒なら「忘れろ」ギアスでなんとかなるかもしれない。
しかし、スザクやシャーリーに使うと後の重要カードが消える。
スザクに「忘れろ」を使えば、後の「生きろ」ギアスが使えない可能性がある。
シャーリーに「忘れろ」を使えば、後の記憶消去が使えない可能性がある。
つまり猫回は、ギャグの皮をかぶった正体バレ事故回であり、後半の運命を変えかねない分岐点でもある。
アーサー一匹で世界史が変わりかけている。
壁子:ギャグ回の裏にあるギアスの怖さ
同じく6話周辺で、ルルーシュはギアスの持続時間を調べるために、女生徒に毎日壁へ印をつけるよう命令している。
通称、壁子、印子。
これは地味にかなり怖い。
本人の意思とは関係なく、毎日決まった時間に壁へ印をつける。
しかもなぜそうしているのか分からない可能性が高い。
後の補足では、学園から離れても命令を実行しようとするような扱いがある。
冷静に考えると、人生にバグを埋め込まれている。
記憶にない行動をしている。
自分でも止められない。
周囲から見れば夢遊病のように見える。
原因不明。
人生のルーティンに、他人の命令が刺さっている。
ギアス能力の怖さは、虐殺や戦争だけではない。
名もない一般人の生活を、地味に壊すところにもある。
ルルーシュは序盤から、人を実験台にするところまで踏み込んでいる。
ギャグ回の裏に置くには、闇が深すぎる。
オレンジくん:風評被害から忠義の騎士へ
ジェレミア・ゴットバルト、通称オレンジ。
序盤の彼は、最初からネタキャラではない。
純血派の軍人であり、名誉と忠誠を重んじるブリタニア貴族である。
しかし、ルルーシュに「オレンジを公表するぞ」という意味不明なブラフを食らい、さらにギアスで見逃させられる。
本人は何も知らない。
しかし周囲からは、何か秘密取引をしたのではないかと疑われる。
オレンジとは何なのか。
何か隠しているのか。
裏切り者なのか。
謎単語一発で軍人キャリアが崩壊する。
かわいそうすぎる。
しかも本人は必死に否定する。
私はオレンジではない!
否定すればするほど面白い。
作中でも視聴者からもオレンジ扱いされる。
しかし、ジェレミアは後半で救済される。
改造人間になり、ギアスキャンセラーを得て、最終的にはルルーシュへの忠義を貫く騎士になる。
そして最後には、アーニャとオレンジ農園をやっている。
序盤の風評被害ネタが、最終話で本当にオレンジ農園として回収される。
これは綺麗すぎる。
ジェレミアは、
序盤:かわいそうな風評被害ネタキャラ
中盤:執念の改造人間
終盤:忠義の騎士
最後:オレンジ農家
という、謎に美しい人生ルートを走っている。
シャーリーは記憶を消さなくても耐えられたのか
シャーリーについては、記憶を消さなくても良かったのでは、と思うことがある。
シャーリーなら耐えてくれそうな信頼がある。
実際、R2で記憶が戻った後のシャーリーはかなり強い。
ルルーシュがゼロだと知っても、父親の件があっても、最終的にはルルーシュを許し、支えたい側に行く。
だから結果論で見れば、
消さなくても、シャーリーなら受け止めたのでは?
と思う。
しかし、1期14話時点のルルーシュからすると、状況が最悪すぎる。
シャーリーの父親はナリタで死亡。
シャーリーはゼロ=ルルーシュに近づきかけている。
マオに精神を揺さぶられる。
ヴィレッタを撃ってしまう。
ルルーシュに銃を向ける。
ルルーシュ自身も罪悪感で限界。
あの時の記憶消去は、合理的判断というより、感情的な処置だったと思う。
これ以上シャーリーを巻き込みたくない。
自分のせいで壊した。
せめて自分の存在ごと消して楽にしたい。
でも、そこにはルルーシュの癖も出ている。
大事な人ほど、守るために情報から遠ざける。
相手の強さを信じて一緒に背負ってもらうより、自分が処理して隠そうとする。
優しさでもあり、逃げでもあり、傲慢でもある。
シャーリーは弱いだけの人ではない。
本当は一緒に背負えたかもしれない日常側の人だった。
だからこそ、消されたのが切ない。
コードギアスは、家族と身内執着の物語でもある
コードギアスは、政治、戦争、革命、ロボットの話に見える。
しかし、根っこを見るとかなり家族の話だ。
ルルーシュはナナリー。
シャルルはマリアンヌとV.V.。
V.V.は兄さん。
スザクは父殺し。
ユフィは兄姉との関係や優しさ。
ロロは偽りの弟から本当の弟になりたかった存在。
世界を動かしているのは、思想だけではない。
むしろ、身内への執着、愛、嫉妬、罪悪感、喪失、復讐、独占欲が、政治や戦争の形で外へ出ている。
だから面白い。
国家の話をしているようで、実は家庭の話。
革命の話をしているようで、実は妹の話。
世界改変の話をしているようで、実は兄弟の嫉妬。
戦場の話をしているようで、実は親友との断絶。
スケールが大きいのに、根っこが人間くさい。
これがコードギアスの強さだと思う。
男女どちらに刺さるのか
コードギアスは、男性向けロボアニメのようでいて、女性ファンも多い作品だと思う。
男性に刺さりやすい入口は、
- 天才主人公
- ギアス
- 復讐
- ロボ戦
- 盤面操作
- 革命
- 世界を変える厨二感
女性に刺さりやすい入口は、
- ルルーシュ
- スザク
- C.C.
- CLAMP絵
- 声優
- 親友同士の対立
- 主従、共犯、裏切り、関係性の重さ
ただし、グロいところもある。
虐殺もある。
戦争もある。
差別もある。
善意が最悪の形で反転する。
だから、無理な人は無理だ。
性別というより、何にアンテナがあるかだと思う。
絵柄、癒やし、かわいさで見る人には刺さりにくいことがある。
構造、厨二、願いの変質、正体隠し、思想対立、関係性で見る人には刺さりやすい。
コードギアスは、刺さる人には人生枠。
刺さらない人には、2〜3話で昼寝される。
それくらい受信帯域が分かれる作品だ。
まとめ:コードギアスは、今見ても壁打ちできる
コードギアスは、今見てもずっと壁打ちできる。
昔は厨二で刺さった。
今は構造で刺さる。
ルルーシュの願いの変質。
スザクとのOS不一致。
ナナリー中心の世界設計。
シャルルとの親子の相似。
V.V.の「にいさん!」という身内感情バグ。
王族を戦場に出すブリタニアの異常さ。
猫回の正体バレ危機。
壁子のギアス人体実験。
オレンジくんの風評被害と救済。
シャーリーの日常側の悲劇。
1期最終話のリアタイ勢発狂。
どこを見ても、考える材料がある。
コードギアスは、ただの懐かしいアニメではない。
再視聴すると、自分の年齢や関心に応じて、見えるものが変わる。
中学生の時は、ルルーシュがかっこよかった。
今は、ルルーシュの願いがどう変わり、どこで父に似て、どこで父と違ったのかが気になる。
昔はギアスが欲しかった。
今はギアスの倫理と、壁子の人生が気になる。
昔はスザクが邪魔だった。
今はスザクが制御不能の親友として重い。
だからコードギアスは強い。
厨二の皮をかぶった、願い、家族、責任、嘘、支配、犠牲の物語。
そして毎話、視聴者に「次どうなるんだよ」という未完了通知を投げてくるアニメ。
そりゃ、今見ても面白い。
