組織問題を理解することと、自分が直す義務は別である
原因説明としては正しい。しかし、自分の行動は変わらない
問題のある職場を分析すると、原因は複数出てきます。
- 管理技術の不足
- 自分の不足を認められない地位不安
- 上下関係を重視する文化
- 問題を上へ出す管理職を守らない組織
- 波風を立てない人が評価される制度
- 上位者の指示だけを安全に通す情報構造
- 発言を判断へつなげない会議
- 離職や沈黙を個人の性格として処理する評価
分析としては有用です。
しかし、原因がどれであっても、自分の選択が同じなら、追加分析の価値は下がります。
相手が学ぶか。
組織が制度を変えるか。
上位層が管理者を守るか。
防衛的な上司が地位不安を克服するか。
これらは、自分の管理範囲ではありません。
理解は、修理義務を生まない
構造が見える人は、問題の原因まで見つけると、
では、どう直せばいいか
を考え始めます。
これは仕事では強みです。
ただし、権限がない組織問題では、強みが自己消耗へ変わります。
- 配置を変えられない
- 管理者を評価できない
- 業務量を決められない
- 上位層へ制裁できない
- 制度を改定できない
- 発言者を継続的に守れない
のに、自分の思考だけで修理しようとするからです。
理解できることと、直せることは別です。
沈黙にも複数の意味がある
何も言わなくなることを、すべて無気力と呼ぶべきではありません。
2019年の縦断研究では、沈黙の動機によってバーンアウトとの関係が異なることが検討されています。[14]
実務上も、
- 怖くて言えない
- 言っても無駄だと諦める
- 今回は戦略的に言わない
- 記録だけ残して退出する
は別です。
重要なのは、
発言しないことが、相手への服従なのか
自分の資源を守る意思決定なのか
を自分で区別することです。
最低限の防御
退出・異動・関係縮小までの間は、次の防御が有効です。
決定へ変換する
「それは指示ですか、懸念ですか」「どの方針で進めますか」と確認する。
責任を戻す
意思決定者、承認者、期限を明記する。
記録する
事実、日時、依頼、回答、未回答、決定を残す。
出力を選ぶ
改善へつながる相手には詳しく話し、圧へ変わる相手には必要事項だけ返す。
相談先を複線化する
一人の上司だけを情報経路にしない。
身体反応を軽視しない
職場ストレスは精神面だけでなく、睡眠、血圧、疲労、身体症状にも影響し得ます。強い症状や急な悪化がある場合は、職場分析より医療機関への相談を優先します。
分析を終える条件
次の四つが揃ったら、思考を閉じてもよいでしょう。
- 何が起きているか説明できる
- 自分が変えられる範囲が分かる
- 次の行動が決まっている
- 新しい情報が出るまで再検討する必要がない
その後は、
原因は理解した。
しかし、自分の担当ではない。
で終えてよい。
結論
問題のある上司が、自分で作った序列の壁を守るために、部下の能力を止めている。
組織がその壁を評価制度や上意下達で補強している。
そこまで分かれば、分析としては十分です。
相手の自己防衛戦を理解しても、その戦争へ参加する義務はない。
