『呪術廻戦』の「天与呪縛のフィジカルギフテッド」は、初見だとけっこう意味がわからない。
「呪力がゼロです」 「その代わり、身体能力が化け物です」
と言われると、こう思う。
じゃあ現実の俺らはどうなるんだ、と。 術式もない。呪力も使えない。呪霊も見えない。 だったら、こっちにもフィジカルギフテッドを付けてくれよ、という話になる。
でも、この設定はたぶん、
呪力がないから強い
ではなく、
本来あるはずの呪力・術式・呪術的なリソースを、天与呪縛によって没収された代わりに、肉体へ異常な補償が入った
と考えるとかなりわかりやすい。
つまり、ポイントは「呪力ゼロ」ではない。 ポイントは、交換対象があったかどうかである。
「呪力ゼロ」と「天与呪縛で呪力ゼロ」は違う
まず整理したいのは、単なる「術式がない」「呪力を扱えない」と、天与呪縛による「呪力ゼロ」は別物だということだ。
呪術廻戦の世界では、多くの人間が何らかの形で呪力に関係している。 非術師であっても、負の感情から呪力が漏れ、それが呪霊の発生につながる世界観になっている。
一方で、伏黒甚爾や覚醒後の禪院真希のような存在は、単に「術式がない人」ではない。
アニメ公式サイトでは、伏黒甚爾について「天与呪縛により、生まれつき呪力を全く持たず、その代わりに超人的な身体能力を持つ」と説明されている。 禪院真希も「呪力を持たず呪いも見えないが、その分高い身体能力を持つフィジカルギフテッド」と説明されている。
ここで重要なのは、「その代わりに」「その分」という交換構造だ。
ただの欠損ではない。 欠けた分が、別のステータスに異常変換されている。
交換対象がないと、補償も発生しない
これをゲームのステータスで考えるとわかりやすい。
普通の術師は、MPゲージがある。 術式もある。 呪力操作もできる。 身体能力も呪力で強化できる。
一方、伏黒甚爾や禪院真希のようなフィジカルギフテッドは、MPゲージそのものが削除されている。 術式もない。 呪力感知にも引っかかりにくい。 その代わり、STR・AGI・DEX・VIT・五感・反射神経に異常な補正が入っている。
つまり、
MPを失ったから強いのではない。 MP欄そのものを天与呪縛によって没収された結果、その補償が肉体に入っている。
これが大事だ。
だから現実の人間が「俺らも呪力ないんだからフィジカルギフテッドにしてくれ」と言っても、たぶん無理である。
なぜなら、現実の俺らには、そもそも呪術世界のステータス画面が存在しないからだ。
呪力口座が開設されていない。 術式スロットも存在しない。 だから没収されるものもない。 没収されるものがないから、補償も発生しない。
ひどい。 運営に問い合わせたい。
リアル人類は「呪力ゼロ」ではなく「システム未登録」
ここが一番大事かもしれない。
現実の人間は、呪術廻戦世界の意味での「呪力ゼロ」ではない。 そもそも、呪術システムにログインしていない。
だからリアル人類は、
「呪力を奪われた人」 ではなく、 「そもそも呪力という項目が存在しない人」
である。
これは似ているようで全然違う。
天与呪縛のフィジカルギフテッドは、呪術世界の住民として本来あるはずの呪力枠が削除されている。 だから、その削除に対する異常な補償がある。
一方、現実の人間には、最初から呪力枠がない。 削除ではない。 未実装である。
だから、補償がない。
「術式ありません」 「呪力ありません」 「じゃあフィジカルください」
と窓口に言っても、
「お客様は対象アカウントが存在しません」
で終わる。
カス仕様である。
海外の人は呪力がないのか?
ここで少し注意したいのが、「海外の人は呪力がないから交換対象がないのでは?」という話だ。
これは直感としてはわかる。 ただし、呪術廻戦の世界では、海外の人間が完全に呪力と無関係とは言い切れない。
たとえばミゲルは海外で夏油にスカウトされ、日本に来た呪詛師として公式情報でも紹介されている。つまり、少なくとも「海外には呪力も呪術も一切ない」とまでは言えない。
ただ、日本ほど呪術体系・結界・呪霊発生・術師社会が濃く描かれているわけではない。 そのため、作中世界では日本が呪術的にかなり特殊な地域として扱われている、と見るのが自然だ。
なので正確には、
海外の人=呪力がない
ではなく、
日本ほど呪術システムが濃くない/呪術社会が制度化されていない可能性が高い
くらいの理解がよい。
そして、仮に呪力が薄い人や術式がない人がいたとしても、それだけでフィジカルギフテッドになるわけではない。
大事なのは、
天与呪縛によって、何かを強制的に奪われ、その代償として別の能力が異常強化されているか
である。
メカ丸は逆方向の天与呪縛
天与呪縛は、フィジカルギフテッドだけではない。
与幸吉、つまり究極メカ丸は、伏黒甚爾や禪院真希とは逆方向の例だ。
彼は身体に重い制約を持っている。 その代わり、広大な術式範囲や高い呪力出力を持つ。
つまり、
- 甚爾・真希:呪力方面を失う代わりに、肉体へ補償
- メカ丸:肉体方面を失う代わりに、呪力・術式範囲へ補償
という関係になっている。
ここから見ても、天与呪縛は単なる「弱点」ではない。
何かを奪われる代わりに、別のどこかがバグる生まれつきの強制トレード契約
と見るとわかりやすい。
虎杖悠仁はフィジカルギフテッドなのか?
虎杖悠仁も、最初から身体能力が異常に高い。 だから「虎杖も天与呪縛のフィジカルギフテッドなのでは?」と思うのは自然だ。
ただ、少なくとも作中で虎杖は、伏黒甚爾や禪院真希と同じタイプの「呪力ゼロの天与呪縛」として扱われているわけではない。
公式サイトでも虎杖は「呪いの王・両面宿儺の猛毒に耐えられる、千年生まれなかった逸材」と説明されている。 つまり、虎杖は「呪力を失った代わりに肉体が強い」というより、宿儺の器としての異常性、肉体そのものの異常な素質、出生や作中設定上の特殊性を持つ別系統のバグ個体と見る方が近い。
虎杖は、フィジカルが強い。 でも、甚爾・真希型のフィジカルギフテッドとは原理が違う。
ざっくり言うと、
甚爾・真希は、呪力口座を没収された代わりに肉体へ補償が入った人。 虎杖は、最初から肉体と器性能がバグっている人。
同じ「身体能力が高い」でも、発生源が違う。
まとめ:呪力ゼロだから強いのではなく、交換されたから強い
天与呪縛のフィジカルギフテッドは、単純に「呪力がない人は強くなる」という設定ではない。
もしそうなら、術式を持たない人や現実の人間は全員フィジカルギフテッドになってしまう。
そうではなく、
本来あるはずの呪力・術式・呪術的リソースを、天与呪縛によって奪われた。 その代償として、肉体性能に異常な補償が入った。
これが一番わかりやすい。
だから、キーワードは「呪力ゼロ」ではなく「交換対象」である。
交換対象がある。 それを奪われる。 その補償として別ステータスが跳ねる。
これが天与呪縛の本質に近い。
リアル人類は、呪力がないのではなく、そもそも呪術システム未登録。 だから補償もない。
術式なし。 呪力なし。 フィジカル補償なし。
さすがに不公平すぎる。 運営は詫びフィジカルを配布してほしい。