三重、イオン多くない?を全国比較したら本当に多かった──四日市の源流、香川の63マルナカ、そして鳥取

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「なんか三重県、イオン多くない?」

地方を移動していると、こういう“体感統計”が突然生まれる。

でかいイオンがある。 少し走るとまたイオンがある。 地図を見るとイオンモール、イオンタウン、イオン、マックスバリュ、ザ・ビッグ。

そのうち脳内の地名より先に紫色のロゴが地理情報を支配し始める。

そこで全国比較した。

結論から言うと、三重は本当に濃い。しかも理由を調べると、四日市はイオンの源流のひとつが生まれた場所だった。

ただし、ここからが面白い。

「イオングループ全部」で数えると香川が異常に強い。 「イオンモールだけ」にすると三重が上位へ跳ねる。 そして人口比では鳥取がさらに上にいる。

イオンを数え始めたら、県民性ではなく集計定義との戦いが始まった。

1. そもそも三重はイオンの“発祥の地”なのか

かなり近い。ただし、正確には「現在のイオンが四日市だけで単独誕生した」ではない。

イオン公式史によれば、源流のひとつである岡田屋は1758年、三重県四日市で創業した。

その後1969年、岡田屋、兵庫のフタギ、大阪のシロの3社が共同してジャスコを設立する。

つまり、

四日市 → 岡田屋 → ジャスコ → 現在のイオン

という太い系譜がある。

だから「三重でやたらイオンを見る気がする」から「もしかして発祥?」へ飛んだ直感は、完全な勘違いではなかった。

ただし歴史を一県だけの手柄にすると雑になる。現在のイオンは複数企業の統合と全国各地の小売企業との提携で巨大化してきた。

要するに四日市はイオンの祖先の実家のひとつである。

2. まず“イオン全部”を数えると三重は89件

AEON.comの公式店舗検索で、2026年9月20日時点の三重県は89件だった。

ここにはイオン/イオンスタイル、イオンモール、イオンタウン、マックスバリュ、ザ・ビッグ、専門店など複数業態が入る。

重要なのは、これは「県内に89個の巨大イオン建築物がある」という意味ではないことだ。

店舗検索の掲載エントリー数なので、同じ商業圏・同じ住所周辺に複数のグループブランドが載る場合もある。

したがって、この数字は「イオングループとの接触密度」を見るには面白いが、「巨大ショッピングセンターの数」として読むと事故る。

人口は2025年国勢調査速報で三重県1,694,896人。

89件を人口で割ると、

人口10万人あたり5.25件 約1万9,044人に1件

となる。

全国4,480件、全国人口123,049,524人で同じ計算をすると約3.64件/10万人。

三重は全国平均の約1.44倍だ。

さらに愛知は134件、人口7,449,403人なので約1.80件/10万人。

つまりこの集計では、

三重5.25 vs 愛知1.80 人口比で約2.9倍

になる。

「隣県より妙に多く感じる」は、かなり数字に出ていた。

3. ところが全国1位は香川。何が起きている

人口10万人あたりのイオングループ掲載件数を47都道府県で並べると、上位はこうなる。

順位 都道府県 掲載件数 10万人あたり
1 香川 79 8.70
2 東京 1,175 8.25
3 愛媛 93 7.38
4 秋田 62 7.03
5 青森 66 5.79
6 徳島 37 5.48
7 三重 89 5.25
8 神奈川 474 5.16
9 山形 50 5.03
10 沖縄 67 4.56

香川。

なぜお前がそこにいる。

答えの大部分はマルナカだった。

AEON.comでは香川県のマルナカだけで63件掲載されている。

香川の「イオン密度」が高いというより、地元で強いスーパー網がイオングループとしてカウントされるため、全ブランド合算で爆発する。

東京も似た罠がある。東京都のイオングループ掲載は1,175件だが、そのうち「まいばすけっと」だけで907件ある。

つまりこのランキングは、

「巨大イオンがどれだけあるか」

ではなく、

「イオングループの看板・店舗網が人口に対してどれだけ張り巡らされているか」

を見ている。

ここを区別しないと、香川県民が毎朝イオンモールの吹き抜けで目覚めているみたいな話になる。

4. では“イオンモールだけ”ならどうなる

ここで集計を大型側へ寄せる。

AEON.comの「ショッピングセンター > イオンモール」分類で見ると、三重県は6件。

  • イオンモール桑名
  • イオンモール東員
  • イオンモール四日市北
  • イオンモール鈴鹿
  • イオンモール津南
  • イオンモール明和

人口169万4,896人に6モールなので、

人口10万人あたり0.354モール 約28.2万人に1モール

になる。

香川は2モールなので約45.4万人に1モール。

「全イオン系」では香川が三重を圧倒したのに、「イオンモールだけ」では三重のほうが約1.6倍濃い。

これで体感の正体がかなり見える。

三重で感じる「またイオンある」は、単に系列スーパーが多いだけではなく、実際に大型モールが人口規模のわりに多い。

5. そして鳥取が突然すべてを持っていく

三重が強い。

と思ったところで鳥取が出てくる。

鳥取県にはイオンモール鳥取北とイオンモール日吉津の2件がある。

人口は523,732人。

よって、

人口10万人あたり0.382モール 約26.2万人に1モール

となる。

今回の都道府県比較では鳥取が上、三重がその次の水準だった。

鳥取、強い。

ただしこれは「2個しかないのに人口が約52万人」という分母の小ささブーストが効いている。

三重の面白さは別にある。

三重は6個という実数を持ちながら、それでも人口比が全国トップ級に残る。

鳥取は少数精鋭。 三重は普通に数が多いうえに密度も高い。

6. “多い”には少なくとも3種類ある

今回の調査で一番大事なのは、イオンの数そのものより「多い」の定義だった。

A. グループ店舗網が濃い

香川や東京が強くなる。 マルナカやまいばすけっとのような大量の小売網が効く。

B. イオンモールが人口比で多い

鳥取と三重が目立つ。 こちらは「でかいイオンをよく見る」という体感に近い。

C. 実数としてモールが何個もある

三重は6件なので、人口比だけの錯覚ではない。

同じ「イオン多い県ランキング」でも、AとBを混ぜると全然違うランキングになる。

統計でよくあるやつである。

質問が雑だと、数字はめちゃくちゃ正確に別の質問へ答えてくる。

7. 結局、三重の“イオンのお膝元感”は本物なのか

かなり本物でいい。

ただし理由を一言で「発祥だから」にすると因果を盛りすぎる。

確認できるのは、

  1. イオンの源流のひとつ岡田屋が1758年に四日市で創業した
  2. 三重にはAEON.com掲載のイオングループ店舗が89件ある
  3. 人口比で47都道府県中7位の高密度
  4. イオンモールが6件あり、人口約28.2万人に1モール
  5. 「全系列」では香川、「モール人口比」では鳥取という別タイプの強豪がいる

ということだ。

歴史的ルーツと現在の店舗配置に関連がある可能性は自然だが、「1758年に四日市で創業したから2026年に6モールある」と一本の因果線で結ぶ証拠までは今回確認していない。

ここは分ける。

しかし体感の判定としては十分。

「三重、イオン多くね?」

はい。

多いです。

しかも調べ始めると、

「香川どうした?」 ↓ 「マルナカ63件」 ↓ 「じゃあモールだけで見よう」 ↓ 「三重つよ」 ↓ 「鳥取2個で人口52万人」 ↓ 「鳥取草」

という、統計がきれいにオチまで運んでくれる。

結論:三重のイオン密度は気のせいではなかった。でも全国はもっと変だった

最初の疑問は単純だった。

「三重ってイオン多くない?」

答えは「多い」。

ただし全国を見たら、香川はスーパー網で爆発し、東京はまいばすけっとで別競技を始め、鳥取は人口比でモール密度を持っていった。

そして三重は、発祥史・実数・人口比の3方向からじわじわ強い。

一番きれいな言い方をするなら、

三重は“イオンが多く見える県”ではなく、“どの数え方をしてもだいたいイオンが濃い県”だった。

参考資料

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